その原作の、今回ご紹介の漫画がはたして
どんなふうに映画として調理されてるのか……
同じ原作者の「子供はわかってあげない」の映画はよかったので、
うん、おいしくあればいいなぁ……。
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KCデラックス 全3巻 各715円(税込み)/ 講談社
単行本として最終巻・第3巻が2020年9月9日に第一刷として
リアル&ネットの店頭に並んだこの作品。
個人的に、絵の抜け感がちょうどいい。
そこにお話しが、人間の単純とはいかない思い、色合いが
すんなり溶け込んでる、って感じがいい。
全体から受ける軽妙洒脱といった印象。
でも内容にさっぱりした感はないんですけどね。
そんな雰囲気で作品のバランスが成り立っている感に、
それゆえ、実写映画化が……心配……。
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あらすじはマンガペディア(ネタばれ注意)を見てもらうとして。
ほんと、
読んでて物語を馴染みやすくさせる、
ページ全体から漂う余計な力みのない雰囲気、感触。
そうあって、
シェアハウスにひとつ屋根の下で暮らす主要な二人それから
ほかのキャラクターたちに与えられた設定・相関による、
現実では早々お目にかかれない “フィクションならでは” の物語、
クリエイティブ性。そこんところの面白さ。
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全巻読了されてる方は、どう思われたでしょう。
この物語の展開にキーでもあるところの感情に、「怒る」。
主要キャラクターがうまく怒れないんですよね、
抱えるところの思いに。
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人は許せないことがあっても、うまく怒ることができない。
ただただ単純に怒ることだったらできると思うんですけどね、
それはもう馬鹿みたいになって暴力的に猟奇的になって、なら。
人は(大なり小なりとしておこう)煩悶する生きものだから、
単細胞でない限り怒りの衝動に抑制・ストップがかかるものと。
「あー腹立つ!その元凶どうにかしてぶっ壊してやりたい!」
って湧き立っても、思うままに破壊し尽くしたりはしない
(というのが理性の上に一般的、なんて言い方すると安っぽい?)。
あ、でも待って、現実を見渡したら……
例えばニュース・報道で触れるところにその通り、
暴力的に猟奇的に狂う域へと入ってしまう人が多々あって、
それがもう当たり前に日々の暮らしに溶け込んでる。
そう考えると、この作品って、
「怒る」その感情による煩悶、苦しみから湧き立つ怒りの衝動
それに任せて乱暴に突っ走らんとすることへの抑制 その欠落が
やすやすと見える日常を踏まえた、よくできた愛々しいファンタジー、
とも読める、みたいな……。
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映画はまぁ一応原作からの産物ではあるけれど別物ということにして、
この漫画は楽しめますので、未読の方がおられましたら、
お手もとにいかがでしょう。