今年の八月が、やがて夏が、終わってしまうってことで……

 

今年も、過ごした夏を振り返れるような、そんな空の写真を。










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空といえば飛行機~って連想してみると、

そういえば、航空会社のテレビコマーシャルって

コロナの状況もあって、今はすっかり見かけない印象ですね。


夏を迎える前あたりになると、

「あったかいとこでバカンス、海なんていかが」みたいなコマーシャル、

ずいぶん流れてたって記憶があるんですけど。


いつかまた、

そんな「しずる感」につよいのが流れるときを祈って、

こんな感じの、過去に流れてたコマーシャルの動画を、

夏の雰囲気を貼ってみますね。



1988年の、ANA 夏の沖縄キャンペーンCM。

男子二人を従えた女性芸人いましたよね、その元祖的な^^

音楽は、稲垣潤一さんの「サザンクロス」


2000年の、ANA 夏の沖縄キャンペーンCM。

音楽は、MONDO GROSSO の「LIFE feat.bird」


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まだ暑くて汗ばむような陽気のうちに、

寒くなる季節に備えて、

陽に暖められた空気を全身に取り入れておきましょうね。


いつ映像化されるんでしょうねこれって……

 

と、わたしは思ってたりするんですけど、この漫画に。

もしされたなら、実写がいいかな。

群像ものだから、出演者で華やかになりそう。


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2022年8月30日 第一刷 / 太田出版 800円


最新刊に4巻、やっと出たって感じ。


あとがきにもありましたけど、

これまで一巻ずつ出るごとの間合いが二年、三年って、読者待たせ^^

それでも待つんですけどね。


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淡島歌劇学校を舞台に、そこの生徒である

予科生に本科生、そして卒業生に個々のキャラクターを

各話ピックアップして読ませる、そんな群像もの。


お話に描かれる、夢や憧れ、抱える人間関係……。

“淡島歌劇学校にまつわる”という大枠・物語上の設定はありますけど、

現実の色んな状況に置き換えられるリズムで読めます。


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この漫画で目を引くあたりに、たとえば……














なにも描かれていないように見えて、

脳内に絵が炙り出されてくるようなコマ運びのところ。

そんな表現・テクニックを用いる漫画にまぁ沢山あるわけですけど、

しっくりくるって思える作品の一つ。


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次の5巻で終わってしまうのはほんとうに残念なんですけど、

とにかく、その数年後の発売に待ち遠しくある、

今回ご紹介の青春群像ものに「淡島百景」。

(一巻から)一読におすすめです。


やっと最新号が出ましたね……


これまでも追いかけてきたこの雑誌、

“日本の《異空間》旅行マガジン”です。


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「ワンダーJAPON ⑤」






定価:1540円(税込み)/ 発売日:2022年7月25日


今回も摩訶不思議奇妙奇天烈愉快妙味のスポットにトリップできる、

“ワンダー力” に精のつく、滋養強壮にばっちしの最新号です。


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公園も、博物館も、公共施設も、神社も、廃墟も、ほかにも、

ただこの世にあるだけじゃなくて、

見方を変えることで、あることの理由を掘り下げることで、

そういったスポットが魅力的に映える、

それは当たり前のことなんですけど、

そこんところを今号も感じさせてくれる具合です。


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新型コロナウイルス、第7波の勢いが止まりません。

こちらも当たり前の継続に注意を怠らずにいきましょう。


とにかく気持ちに若返るサウンドに……

 

まずは、日頃のいっぷくでお世話になる音楽の中で、

よく聴く一曲にこれを。前口上つきです。



この前口上つきの「SPARKLE」は、

菊地成孔の粋な夜電波(というラジオ番組。現在は終了していて悲しい)

そこで放送されたもの。


前口上に深く聞き入ってしまいます。


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山下達郎さんといえば、そうですね、

今月22日に11年ぶりの新しいアルバムが出るわけですけれど、

それに合わせて特集の組まれた雑誌にこれ。




BRUTUS・7/1号(マガジンハウス/880円) 

入手に少しばかり難しくなってるみたい。


8時間ロングインタビューに読み応え十分。

「全仕事リスト、449曲」のデータにも圧倒。

(リストに載ってない曲もありますけど……)

五十年のキャリアの結晶って感じです。


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特集の記事にもあるのですけど、

CMにおけるタツローサウンド、について。

できれば、そのCM全リストなんてものもあれば

うれしかったかも。


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タツローサウンドの使われるコマーシャルって、

その曲のプロモーションビデオっぽく思えたり。


そんなコマーシャル、CM使用曲をちょびっとだけ。












「日本IBM  Aptiva '95」のCM曲


タツローサウンドの採用されたコマーシャル全部を

一本に繋いだものを観てみたいわぁ。


マヨネーズ好きにもそうでない方にも……


今年1月に紹介した小説「TRY48」、現時点(新潮六月号)までの展開に、

主人公・百合子がTRY48の悪魔セブンの一人としてアイドルデビュー。

寺山修司の指示のもと、週刊プレイボーイの巻頭カラーデビューで

ほかのメンバー全員とともに真っ裸にさせられ広いのっぱらを走らされたり

(そこを鋤田正義や荒木経惟など有名カメラマンらが撮影!)、

勝手に人ん家に上がり込んでアイドルする、といった

“勝手にアイドル宅配、ならぬ誤配!”なんてやらされたり。


これから先にどうなるのか、TRY48が世間の話題となり、

おっきなステージで大観衆の前で弾ける展開となるのでしょうか、

引き続き楽しみたのしみ……。


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それで、「TRY48」からの流れで、

寺山修司っていうと映像作品を多々手がけていて、その中に

「トマトケチャップ皇帝」ってタイトルの作品があって、

まぁ内容は置いといて、そのタイトル。


それと親近感おぼえるタイトルの漫画があったなってことで^^

今回、それをご紹介。


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1996年 10月31日 初版 / 1000円(税込み)


この単行本には、

1話ずつ読み切れるお話が13話収められています。

描きおろしを除いて、すべて

月刊ガロ(1994~1996)に掲載されていました。

ええそうですね、この作品は、ガロ系、といえましょう。


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この作品は、

“小学生のはっちゃん(←マヨ吸ってる子)”を

主人公に(そうじゃないお話もありますが)、

その世界に同居する他のキャラクターとの妙から

編み出されるお話を楽しむって感じ。


※ はっちゃんはマヨネーズ好き。

  1日に10本は吸っちゃいます。



以下に抜粋で、

こんな感じのキャラクターが登場して、

全体的にエキセントリックな、

そんなお話が編まれていきます。


道の水たまりやプールにはった
氷など、町にはる氷を食べるのが
大好きな「こおりひめ」。



死期迫るお姉さんとの約束通り、
亡くなったお姉さんの体を
食べたことで、そのお姉さんが
自身の細胞にかけた呪い
(この世に生きたいとする再生の
呪い)にかかってしまう弟。



デパートの中で神隠しに遭い、
そこで暮らしている女の子。
デパートが建つ前の神隠しの森で
神隠しに遭い、そのままデパート
で暮らし続ける80歳の老婆。



大食いの見世物で稼いでいる、
肉体が食欲に飼われているような、
大食らいの女性。
※大食いの見世物の仲間に誘われ、
 マヨネーズ大食い少女として
 デビューするはっちゃん。



自宅に自分ひとりだけの安らげる
空間を欲する、常に鬱屈を抱えて
破壊&殺人の妄想に駆られる主婦。



陽があるときや月が明るいときは
スポーツバッグの中に隠れてやり
過ごす、“影”がない男のコ。




死んでも生き還ってしまう、
そのことに罪を抱いている姉妹。



おじいさんの残した
タイムマシーンの設計図を
受け継ぎ、ひとりこつこつと
作っているおばあさん。



意味もないのに形を変え、
恥もないのに赤く染まり、
知恵もないのに涙を流す、そんな
ほかの雲のように生きることを
やめようと考える、この世で
たったひとつだけ生きている雲。




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メインキャラクターのはっちゃんも、

その趣向や行動などに相当トリッキーな女のコです。

たとえば……


峠のばばあに喰われないよう
からだにからしを塗りまくる
はっちゃん。



突然亡くなってしまった
お母さんを生き還らせようと、
その遺体を背負い、
“ドクター真剣医”のいる屋敷を
探して富士の青木ヶ原をさまよう
はっちゃん。



やはりマヨネーズ好きの設定に
外せないこの場面に、
5段のマヨネーズケーキ!を作る
はっちゃん。

5段て……実際に作ったら
もう見てるだけで
胸やけどころではないレベル。




ほかにもトリッキーな感じで描かれています。


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どのお話もエキセントリックな感にありながら、

どこか、大人な童話、ともいえるような、夢の中のような雰囲気。


今回のご紹介に、

登場するキャラクターと絵の雰囲気から好みの針が触れたなら、

お話にもその針が触れることと思います。


古書店などで入手可能と思いますので、

よろしければお手にしてみてくださいませ。


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なお、この作者さんは小説も書いておられて

(単行本のタイトルに「イエロー」「刺繍天国」など)、

「マヨネーズ姫」のような味わいが楽しめます。

そちらもよろしければお手にどうぞ、なのですけど、

古書価格としてけっこう高値がついてるみたいです……。


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真夏日にすっかり突入ですね。

熱中症対策に、水分補給とともに、

周囲を見計らいマスク外して呼吸を整えましょう。


「わたしは真悟」で思い出した、これも機械に命の宿る漫画……

 

前回ご紹介の “芸術新潮「楳図かずお特集」” の中で

名作「わたしは真悟」を紹介するページがあるんですけど、

その単行本を久しぶりに読んでたら、


さとるとまりんがプログラムすることで命の吹き込まれる、その

機械なのだけれどまさに魂を宿した存在となる “真悟” に、ふと、


機械が人間となるみたいに命を宿す設定の漫画に

数知れないですけど、なのにどういうわけでしょう、

こんなのあったなって、かつて読んだこの作品の記憶が

ほかをさしおいてよみがえってきたという。


そこで、今回はそれをご紹介です。


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1982年2月1日発行 / 定価980円


まさに当時のニューウェイブにあぶらののった頃でしょう、

ひさうちみちおセンセーの作品集。


どの作品も、絵のタッチが初期の劇画みに抜けて

ポップともいえるイラストレーションふうみです。

けれど、内容の方は、ご存じのみなさまにはまぁそういうことですよね、

なかなかにアナーキーです、そして、なかなかにエッチです。


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この作品集に、

三編の連作のようなものが収められています。


「山本一郎」さんという名前のロボットについて、

その身の転じる先々で仕え働いてきた人生を描いた二編と、

その息子の孫「三郎」くんの人生を描いた一編。


で、「わたしは真悟」を介し思い出したのは、連作の中の、

山本さんの生まれた経緯の描かれたプリクエル的な一編。

以下に少々。
























ここから更にページは続く……。


お話は、触りにこんなふうで、

(まだ山本一郎という名前がつく前のこと)

ときに戦中、苦学生樋口さんの学費を稼ぐ手段として

夜店の的当ての機械仕掛けのオニとして生まれ

そのよくできた電子回路で人間性を宿し客を喜ばせていた山本さんが、

状況に転ずる中で辛うじて人型といえるような体を獲得し、

やがて引き取られる財閥の家でそこの令嬢に仕えながら、

あるとき軍人に目をつけられてお国の戦争のために仕えることとなり、

軍力増強に山本さん型兵器が造られて……


といった感じ。


見どころに、

引き取られた財閥そこの令嬢のいじわるにつくすことで

 “ヨロコビ” を獲得する、被虐性愛という人間性をも

真摯に獲得する山本さんにそのあたりかな。


お話自体、連作にほかの二編も加えて、

読者を特段笑わせたり泣かせたり熱く啓蒙したり

そのようなふうにはないのですけど、

淡々とひさうちさんリズムに語り調子で進んでいく

山本さんの人生というものに、

読者目線に身近な距離感でありながら、しかし

客観的に距離を置いてうかがっているようでもあるところに、

それがなんとはなしに映画監督・小津安二郎の作品テイストを

わたくし的におぼえたりする、

「山本さんのおぢいさんの青春」に一編。


   ……で、

   この作品を思い出したきかっけなのですけど、

   (ページ画像にもありますが)腕を獲得したときの姿が

   アーム型機械の “真悟” となんとなく重なるような……気がして、

   それでなのかな、みたいな。


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連作以外の作品にもちょびっと触れておきますと、

どれもがひさうちさん的アカデミックテイストにあふれております。


男女の出会い方について、女性のしくみについて、

運命に不幸というものについて、など、そういったものを題材として、

まぁ過剰にソフィスティケートされた感じに創作されてます。


たとえば一編に、










姿形に三文字で、アソコ、って言葉の主人公が、

それまで閉じ込められてたエッチな雑誌から自立を目指して出、

やがて言葉を求める元書道家であり画家志望のところでモデルを務め

その差別偏見のない眼によって芸術の域に描かれる、っていう、

そんなお話とかね。

(それ読んで、そういえば、と、日本ファンタジーノベル大賞の

 過去作を思い出しました。“バス停” が主人公の一編を)


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絵に成人向きでアレな感じなのがそこここに見受けられて、

ここではご紹介しにくいところもある今回の一冊、

古書店、ネットオークションなどで入手可能だと思いますので、

よろしければ一読いかがでしょう。