どんなアイドルグループが新生するのか、見世物的に期待……

 

新年が明けまして、もう一月が終わろうという。

時の移ろいに早いですね。


今回はこれをご紹介。


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文芸誌に月刊「新潮」(1200円税込み)の、

2021年12月号から連載が始まりました、

タイトルに「TRY48」、作者名に「中森明夫」さんです。


今後の展開にどうなるのか定かではありませんけど、

一まず「アングラサブカル好きにはもってこい」っていえる作品かな。


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お話は……

これまでアイドルオーディションに書類選考で落とされ続けてきた主人公に

高校生の深井百合子が、寺山修司プロデュースによるアイドルグループ

TRY48(TeRaYama 48)募集に対し、

高校の社会学研究部あらためサブカル部所属の寒川光子から

寺山修司その人についてその周辺情報もひっくるめて

あれこれレクチャーを受けて事前予習に鍛えていく、


といった感じ(現在連載三回目までのところ)。








寺山修司が生きていたなら、という「 if(もしも) 」がベースにあって

お話が進んでいきます。


寺山修司といえば、

歌人、劇作家・演出家、作家、脚本家、映画監督など、として、

(詳しいところはWikipediaでどうぞ)

1950年代から1983年に亡くなるまで活躍されてました。


現在では、

それは知ってる人だけになるのでしょうけど、

アングラサブカル界に崇められる存在の一人といえましょうか。


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秋元康(AKB48、坂道シリーズのプロデューサー)の活躍への対抗で、

自身のプロデュースでアイドルグループを作る!っていう設定からして、

サブカルに強い、っていうかそこに重鎮の、中森明夫さんらしい創作。


(コアな)サブカル好きには慣れたところの、

寺山修司に関係する、関連、引用づけられたワード、

人物、芸術作品、演劇、映画、漫画などのネタの登場や、

この創作において特徴としてよいでしょう、

連載各話ごとに図版の用いられているところがいい感じ。














作中に、漫画「デスノート」の「L」のお葬式が、

あの現実に行われた「あしたのジョー」の力石徹のお葬式のように、

執り行われるシーンは、ほんと純に創作って感じでページをめくりました。


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寺山修司になりきってセリフの書かれているところなど、

現在の高度化されたモノマネ芸人を思わせるかな。


作中にもありますけど、タモリが寺山修司のモノマネにうまいという、

それとはまた画したおもしろさがあります。


とにかく、

どんなアイドルグループが誕生するのか、楽しみなお話です。


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簡単なご紹介に「TRY48」だったのですけど、

まだ連載中で、単行本になってから読むといい感じかもしれません。


現在から遡ること昭和のサブカルに興味関心のある方は、

またそうじゃない方もそのあたりのサブカルの勉強になります、

一読にいかがでしょうか。


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オミクロン株、全国の感染者がものすごく増えていってます。

一層の脅威とならないよう祈るばかりです。


ひとそれぞれ思い出にあるはずの、「毎日が夏休み」気分……

 

雪が降り積もるのも当たり前になってきた今年も終わり間近、

もう来年の夏が待ち遠しい限りです。

青空に煌めく燦々、

きんきんに冷えたレオンウォーターのおいしい季節……。


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今年8月の記事に夏空の写真で夏の雰囲気を振り返り、

ふと、そこの文中にこの漫画のタイトルがあったなと、

ちょうど寒い時期だからというわけじゃないけれど、

あたたかくなれる作品として、ってぐあいで、

今回ご紹介の一冊に。


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1990年3月17日初版発行 / 400円(税込み)


この一冊には表題作と、

原作者・大島弓子さんとその飼い猫「サバ」との暮らしぶりに

エッセイ風が二編収められています。


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「毎日が夏休み」はこのような感じ。


わけあって登校拒否の林海寺スギナ(13歳)と、

こちらもわけあって会社を辞めてしまった義父の成雪(なりゆき)

そのふたりが、義父の立ち上げた会社になんでも屋をやっていく中で、

スギナにその十代の多感でもって気づきそして発見していく、

やがて大人になり、それこそが「毎日が夏休み」のようだった、

と述懐する、若やかな青春のときを描いたもの。
















スギナちゃんと義父それぞれが登校拒否であることが母親にばれて、

そこからなんでも屋を開業して、最初は慣れない仕事に

それでも段々レベルが上がっていき、

仕事の依頼人に義父の元奥さんとの出会いがあったり、

かつての会社の同僚から送別会という名のもとで

幾分たちの悪いジョークをやられたり、そこに我慢ならなかった

スギナちゃんの行動が義父の怒りを買ったり、

反省する義父から必要とされるスギナちゃんが人間関係に

うざい学校との決別があったり、ほかにも、まぁ、とにかく、

スギナちゃんの感性が心地よく詰まってて、

案外重いなって思える内容も軽やかに読ませてくれます。


ただただお話というものを、漫画という表現を純に楽しみたい、

そこのところにかなっている、そんな「毎日が夏休み」。


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ほか、エッセイ風に二編は、愛猫「サバ」との関係を描いたもの。


サバは、映画「グーグーだって猫である」にも出てますよね。


エッセイ風に一編は、サバのストレスからのよもやま話。

もう一編に、サバを宿にするノミを取るシーンに端を発するよもやま話、

って感じです。けど、そこは大島ワールド、変幻です。


サバ、カラス、象のハナコさん、ノミ、それぞれの擬人化。作品ワールドです。

大島弓子先生も商社マンの夫に悩みを抱える代官山に住む奥様に変身します^^













(↑)ノミのミシェールとポーレットがかわいらしい


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「毎日が夏休み」は実写映画(1994年製作)にもなっていて、

それが大よそ漫画のとおりで、よくできておりました。

アレンジに別もののごとくひどくない、それは、

原作がみごとだからこそといえましょう。


わたくし的に映画とのセットも大変よいと思います、

ぜひ手に取ってページを開いてみてくださいませ。


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オミクロン株によるコロナ感染が徐々に増えてきてますね、

気を抜かずに用心です。


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当ブログにお越し頂いているわずかながらのみなさま、

本年のお付き合いにありがとうございます。

よろしければ来年もひいきにして頂けたなら幸いです<(_ _)>


人は誰しもトラウマを抱えている……


年末の繁忙に更新の間が少々空いてしまいました。


ここしばらく色々忙しいと、

身近に読む本もそんな具合に共鳴、影響される感じです。


そんな調子でページをめくっていた一冊に……。


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2018年8月25日初版第一刷発行 / 2200円+税

フィルムアート社さんからの発行です。


“トラウマ” の説明に詳しくは申しませんが、

そこに触れたなら決して明るくはない思いの呼び起こされる、

心のよどみ、とでも申しましょうか。


そんな “トラウマ” を、

現に思いつく種類のまとめ上げられた内容になっています。


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個々のトラウマについて、具体的な説明、

それを抱える人の性格・精神面のありよう、

日常の行動、悪化させる要因、克服につながる場面、など、

わかりやすく教示されています。















“クリエイティブな作業に、

キャラクターの造形に便利”と謳われる本書なのですが、

深く読み込むと自身の境遇と重ね合わせてしまい

病みに陥る恐れも……。


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もしページをめくる機会を持たれる場合は、

あくまでも辞典として触れてもらえれば……。


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コロナウイルスの新しい変異株、「オミクロン株」が

この国で見つかったというニュースが……。

この先に心持ちが萎えてしまいますけど、これまでと同様、

常日頃に用心を忘れず努めてまいりましょう。


やっと届きました、遠地での企画展の図録……


予約してから手元に届くまでが長かった……、

書店さんもアメリカへお取り寄せでしたから。


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2021年9月7日発売 / 日本円で5800円くらい


今現在アメリカのロサンゼルスに新設された米アカデミー映画博物館で

こけらおとしとして開催されているオープニング企画展「宮崎駿展」、

その図録です。


ARTの巨匠の展覧会図録に共通した厚みのある、

いいつくりです。


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表紙にトトロで、裏は千とカオナシです。

裏には宮崎駿展の簡単な紹介文があります、

ジブリから初お目見えの資料色々で匠の技をご覧あれ的な。
























「アルプスの少女ハイジ」や「ルパン三世 カリオストロの城」からの

レイアウト、また「風の谷のナウシカ」から「風立ちぬ」に至るまでの

イメージボードや絵コンテ、舞台設定、背景美術など、

企画展用に展示されている内容が一冊に。


感想として、

これまでに日本で催されたジブリ関連の展覧会の方が、

やっぱり自国なのもあって、展示内容に濃い印象かな、と。

米アカデミー映画博物館での企画展の中身は、

“宮崎駿の仕事”をまんべんなく(広く浅く)俯瞰している感じかな。


でも、

紹介される資料の数にボリュームがあって、そこから

アメリカで宮崎駿がリスペクトされるほどがうかがえます。 

結構な重量で、製本にしっかりしているだけじゃない、

スタジオジブリのクリエイティブその積み重ねが

重厚にうかがえます。


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この先にどうなんでしょう、

図録に日本語訳のものが出版されるのでしょうか。

その際は日本でも同じ内容の企画展が行われるのかな、

なんて思いつつ、ご紹介の英語版、お手元にいかがでしょう。


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10月も半ばを過ぎて、寒さがぐぐっと接近です。

コロナ、引き続き注意を怠らず第6の波に備えてまいりましょう。


今年もぴちぴち跳ねる魚のような新刊が出てます……


実際は今年7月に発売だったんですけど、

ご紹介の鮮度に十分!


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2021年8月4日初版発行 / 980円+税

帯もいつもどおりに“読ませます”。


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(↑) 犬の首につながれたロープのその先はどこなのか……











(↑) こんな電柱電線ロープウェイに乗ってみたい……


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全体的に食べ物のモチーフの登場が多い、

そして妙の濃い短編が詰まった感じの新刊。


その短編の中でも、

製造に危ぶまれる菓子パン「カステラ風蒸しケーキ」その味を求めて

主人公が知的探求心でもって突き進んでいくそんなお話(それも五話分)に、

好みの味を一途に求める思いっていうのが、

それは人によって食べ物でなくても別のなにかしらに置換できる衝動に、

わたくし的にぐっときました。


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といった簡単な感想^^なんですけど、

毎度、時空にへんてこな世界へトリップできる、

日常を見る目に柔軟性を養ってくれる、すてきな一冊。


(最初の単行本「足摺り水族館」から数えて)八冊目の単行本、

「魚社会」よければお手にどうぞ。


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本日、総理大臣に新しい方が選出されましたね、

どうかよい政治運びをお願いしたいところです……。


季節の変わり目に(でなくてもいいですが)読みたい絵本……

 

もう秋が目覚めてますね、

ここ最近の夜はその季節の虫の音もあって、やんわりすずしい。


というわけで、

タイトルどおりにしっくりくるこの一冊をご紹介。


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2019年5月22日初版発行、小学館より、1300円+税


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お話は、

擬人化された四つの季節・春夏秋冬に

“はる”と“あき”の手紙を介した交流がやさしく描かれる、

といった具合。


絶対に出会えないお互いの、

それぞれに思いをはせるまなざしが

読者の心をあたたかくする絵本。


この絵本の帯にこうあります。間違いありません。








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出だしに、“はる”が目覚めるところから始まります。

そうして、“なつ”がやってくるところで

来年まで眠りにつこうとする“はる”が気づくのです、

“あき”に会ったことがない、と。そこで、

“あき”に手紙を書いてみよう、ということに。














その後に続く手紙のやりとりで、

お互いの素敵なところにあかりが灯されていきます。


絶対に出会えない宿命にある“はる”と“あき”なのですが、

だからこそ通じ合える関係性に絶対でもあると、読ませます。


画風のおだやかでやわらかなのが

お話を、“はる”と“あき”をあたたかく包み込んでいます。


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まさにお話と絵に相性よく出会った、

生きとし生けるものを全肯定する、

といった印象もおぼえる絵本「はるとあき」。


書店やネットで購入可能と思いますので、

よければページをめくってみてください。

すてきな絵本です。


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ついこの前までほんと暑いと思っていたのに、

もう今年に瀬の気配が……まだ気が早いでしょうか。


コロナウイルス、まだまだ勢いがあります、

いいかげんおさまってくれますように……。