スペシャル対談のおぼえ書き。……


明るく前向きにアクティブに、そうして行ってきました、

京都市美術館開館90周年記念展に関連したイベントに、

「スペシャル対談 山田五郎 × 村上隆」(2024年4月26日)。




ローソンチケットの

お気に入り登録機能、

しっかり働いてくれました。



あの被り物の出で立ちで登場(会場どよめき)された村上隆さん、

ご自身の飾り立てにインパクトありありでした。

山田五郎さん、教養講座やアド街、ぶら美などで見るお姿にまんまや、って

そりゃそうやねんけどご本人なんやし、実際目にするなり

なんだか(* ̄▽ ̄)ヒャッホイ!って感じになりました。

お二方からパワーをいただいたような。


   〇   〇   〇


ということで、およそ90分の内容に、ざっとこんな感じでした。

(わたしの脳都合・解釈が入ってますのであしからず)


    ---- ---- ----


西洋フランス画壇で活躍した藤田嗣治もそうだったと例に挙げながら、

「なぜ村上隆は日本で嫌われるのか」と。

(藤田嗣治もその活躍当時嫌われていた。ご本人のパフォーマンスに対して

 だけでなく、「西洋画には珍しい日本の面相筆を用いて描いてるだけやん」

 って言われようで)

ほかの日本人アーティスト、草間彌生さん、奈良美智さん、杉本博司さん、などは

あまり嫌われていないのに。

 ↓

“オークション・サザビーズでの16億円落札”が大きな話題となり、

それを機に嫌儲主義の目から仇のようになってしまった。

(芸術とは儲けのものではない、って根付きのある日本)

 ↓

16億円で落札されたけれど、そもそも作家のもとには一円も入らない。

※落札された際はその額に対し幾らかを作家に支払うべき(と山田さん)。

 ↓

嫌儲からの流れで、「作品自体も村上隆本人が描いてないじゃないか、

運営してる会社のスタッフが手がけてる」との批判も。

 ↓

でもそれを言ったら古くは工房を構えスタッフを抱えて作品作ってた

ダヴィンチやミケランジェロはどないやねん(と山田さん)。

 ↓

現在の日本の芸術というものは、

明治期に工部・運輸省が外国から芸術/西洋画を“輸入”したことに始まる。

(そうして日本初の美術学校、工部美術学校、が創られた)

< 西洋画を輸入することの意味 >

その写実描写が「記録」に有用、その遠近法が「図面作成」に有用

 ↓

(工部美術学校廃校後、東京美術学校の誕生)

 ↓

日本の芸術の出自、その定義に曖昧さがある。

 ↓

日本に培われてきた歴史ある“日本画”には、西洋画のそれとは違った、

空間、奥行きを捉える表現があった。

 ↓

俵屋宗達、尾形光琳、与謝蕪村、円山応挙、曽我蕭白、伊藤若冲、など。

日本画の平面的な描写にあって、描かれたモチーフ(植物やら生き物やら

景色やら)に対し目線を動かし鑑賞することで、

そこから立ち現れてくる空間、奥行き。

 ↓

1980年代、「銀河鉄道999」そのほかアニメーション作品で

活躍されていたアニメーターの金田伊功(かなだよしのり)さんの

テクニック(平面的な描写)そこにとりわけ爆発の描き方に

日本画の表現との親和を見る。

 ↓

スーパーフラット、その概念の提唱。

 ↓

創作する作品に対して「アニメや漫画など日本のサブカルチャーを

芸術に利用している」といった見方がされている。

かつてアニメーション監督・富野由悠季(とみのよしゆき)さんとの

対談があったとき、そのあたりについてなにか言われやしないかと

どきどきした(と村上さん)。

 ↓

作品をつくる上で、ただサブカルチャーが目立つだけじゃない、

展覧会の催されるその土地ごとにそこではぐくまれた芸術に

ちなんだ作品づくりがなされている(と見る京セラ美術館館長)。

 ↓

たとえば、サンフランシスコの美術館で展示される作品には

ドナルド・トランプを想起させるような政治的な色合いが、

また、今回の展覧会では、これまでの村上作品にはなかった表現、

“金の箔押し”そこに京都(の絵師)にちなんだ作品の肌合いが見られる。

 ↓

今回の新作は、学生時分に京都への学習旅行(美術巡り)その経験が

反映されているものと。

 ↓

土地にちなんだ作品づくりには、その土地へ日数かけて滞在することが大事。

そのことを若い人に教えるけれど今一つぴんときていない(と村上さん)。

 ↓

これまで開催された個展の回数が日本よりも海外が多い事実に、

世界で活躍するには、海外とのコミュニケートが必要(その土地を知る上で)。

これからの芸大は、絵を描けることよりも、

英語(外国語)できる人(の教育)がとても大事なのではないか。

 ↓

「なぜ嫌われてしまうのか」に立ち戻り、

世界で活躍する日本人の例を挙げながら(俳優の真田広之さんとか)、

今後恐らく日本での自分の個展はもうやらない。

 ↓

それは、決して嫌儲主義に相対する“マネードリブン(金儲け主義)”

によるものではない。


対談の最後、山田さんから村上さんへの質問に、

「風神雷神の作品、なぜ俵屋宗達の風神雷神の位置とは逆なのか?」

 ↓

最初に思いついたイメージにその位置関係だった。

最終的に反転させるつもりだったけれど、

そうしたら思ってる感じではなかった。なので、

最初のイメージ、ニュアンスを大事にした。


「これからも、もっとたたかれてってほしい、いい意味で」と山田さん。


「日本での自分の個展は恐らくもう無い」と村上さん。


    ---- ---- ----


どこかでおぼえのある内容も含んでいましたが、

直に見聞きできたことでなるほどふむふむと、

時間にあっという間のイベントでした。


   〇   〇   〇


スペシャル対談の模様がYOUTUBEなどで公開されることがありましたら、

そちらに正しくご覧くださいますよう<(_ _)>


対面してきました。……


今月の中頃、桜の見ごろに合わせて。

美術館の個展に入らなくても鑑賞できる金ぴかの作品と。


   〇   〇   〇


京セラ美術館の裏っかわにある日本庭園そこの池に配されてる作品、

「お花の親子」。13か4メートルくらいのおっきさです。


































これくらいおっきいと、威光を宿す加減で、

偶像的に働く引力の作用って感じで、

老若男女の目を楽しませるふうでした。


空がもっと青ければ、桜も映えて、

写真としていい感じになってたんちゃうかな。


今回の個展「もののけ 京都」は、まだ鑑賞できてません。

開幕に合わせて行きたかったんですけれど、そのときは伏せてましたので。

閉幕するまでには足を運ぶつもりです。


   〇   〇   〇


「お花の親子」を手がけたのはみなさまご存じ、

現代美術家・村上隆さん。


そういえば、下の動画を随分と前にリンクしてました。

  音楽【Different Colors

そのなつかしいアニメーションは、ルイヴィトンとのコラボPV。

(細田守監督作品なので、“時かけ”とか“サマーウォーズ”とか好きな方は

 いっぺんくらい見といていいかなって思います)


   〇   〇   〇


過去に催されたこの方の個展に印象の強いものでしたけれど、

2016年に横浜美術館で(森美術館「五百羅漢図展」と重なる時期に)、

この方の個人所蔵に国内外のアーティストの作品を展示する

「スーパーフラットコレクション」展があって、

それがわたしの印象に色濃く残ってます。


  コレクション展の動画




古典から現代まで、西洋に東洋、作品のジャンルに広く、わたしには

コレクションの向きにただただわかりやすさが感じられて、

この方の脳内の単純明快さに触れた思いがしました。


よそさまのお家に書斎の本棚を眺めてるような、

そんな風趣好きなわたしにはいい感じだったコレクション展。


個人所蔵に現在も進行形のはずで、

コレクション展その2やってほしいんですけれど……。


   〇   〇   〇


そんな思いをこぼしつつ、

「もののけ 京都」展、いかがでしょう。

スペシャル対談で村上隆さんが仰ってましたけれど、

「日本では恐らく自分の個展はもうやらない」そうですので。


   〇   〇   〇


~ 次回の記事に ~

4月26日に足を運びました、

京都市美術館開館90周年記念展に関連したイベント、

「スペシャル対談 山田五郎 × 村上隆」のおぼえ書き、を予定です。


しばらくお休みしていました。……


体に無理をいわさない程度にアクティブに、きもちに明るく前向きに、

わたしの新年に今月からって感じです。


   〇   〇   〇











お休み中、小さい頃から親しいこのお菓子のパッケージに

初めて現れてくれました、エンゼルマーク。

次は金のエンゼルを見てみたいです。


いま開催されてます、……

 

青森県で。

でもそこまで行けませんので、

この図録で鑑賞です。


   〇   〇   〇












2023年11月30日 初版発行 /

一般財団法人奈良美智財団、青幻舎 / 3850円(税込み)


現在(~2024年2月25日まで)青森県立美術館で開催中の

個展の図録です。


現地でなければ買えないわけではなかったので、

そこへと赴く気持ちで青幻舎のオンラインショップから


  --- --- --- ---


図録の最初に、作家のツイートが引用、紹介されています。


「子どもの頃の気持ちや、思春期の高揚を決して忘れない。

 大人になるために忘れない。

 懐古的な感傷ではない。過去を引きずるのでもない。

 自分の時間軸に一本の幹を見つけたいのだ。

 年月を経て、それでもずっと自分であり続けるのだ。」


この短文に、

自分を汚されない、そんな強い呪文のような聞こえをおぼえます。

個展のタイトル「ここから」が、常にそうあるための言葉なんだって。


  --- --- --- ---


図録に展示空間の紹介がもっとあってくれたらって。

でも見せどころに当然で、足を運んでくださいね、

ってことなんでしょうね。














  --- --- --- ---


購入した図録には、青幻舎の出版目録もセットで付いてきました。

青幻舎の目線による今現在のアートのもように触れられるぐあいで、

ちょっと得した気分です。参考までに。


  --- --- --- ---


巡回しないみたいなので、

あらためて図録(オンラインショップで購入可)があることにうれしい、

そんな今回の一冊でした。


   〇   〇   〇


青森といえば弘南鉄道、そこに国内で最も古いラッセル車が

現役で走ってますね。今冬も除雪で頑張る姿を応援です!


そういうことだったんですね、“2399日”。……

 

遅ればせながら、皆さん御覧になられましたか?

一週間前12月16日土曜日夜の放送だったテレビ番組、

「プロフェッショナル仕事の流儀 ジブリと宮﨑駿の2399日」。

巷間にずれてやっとのことはいけんいたしました。

それについて、感想みたいなのをちょっと……。


   〇   〇   〇


「君生き」に、あんなにも呪縛からの解放(けりをつける)

込められてたなんて思いもしませんでした。

そういう物語だったんですね。

月刊誌「SWITCH」9月号のジブリ特集に、

大叔父が高畑勲さんであることが(対談記事で)

プロデューサーさんの口から発言にあったのを知ってましたけど……。


わたしが「君生き」の鑑賞で若やかな生の印象にあったのは、

あの作画監督よる線がこれまでのジブリの線を食っちゃうくらい

強いせいだったのかって、答え合わせの気分でした。


美しい世界を作れ」ってところ。それを主人公(=宮﨑駿監督が拒むのは

高畑勲監督との別れ、って意味だったんですね。

美しい世界を作れ、それを拒むのは非現実の中でのそれだからって、

スクリーン上にそう思ってたんですけど。


2399日”、

番組としてどれくらいの編集(演出)が入っているのかわかりませんけど、

たいへん見入るものでした。

ジブリ以前から一緒の二人の関係性に、とりわけ残された一人の居振る舞いに。


  --- --- --- ---


もうちょっとだけ。


「君生き」は、その情報が劇場公開前に徹底した管理にあったわけですけど、

しばらく日月を置いてからちょい深く開示にあって、そうしてから、

関連書籍の発売、そして、2399日”の放送。


そこでふと、2399日”って今観てよかったかな、と少々かしぐ思いが……。

今後「君生き」を鑑賞したなら、2399日”のことを意識してしまうから。

それはそれでいいんです。けど、最初の事前情報なしの味わいを

もうしばらく持続させてもおきたかったかな、とも思ってみたり。


  --- --- --- ---


2399日”では、呪縛からの解放”とともに

宮﨑駿監督の、老い、にカメラが向けられてましたけど、

薪を割る姿に、まだまだ、って見えました。

あと、番組の最後の最後、ナウシカの絵(!!!)を描かれているところにも、

まだまだ、って見えました。


感想みたいなの、おわり。














宮﨑駿監督(左)と高畑勲監督(右)


日常の眺めに変化を与えてくれます。……


ようやく発売されました、年に一度のお楽しみ。


   〇   〇   〇




















2023年12月5日 初版発行 / 白泉社 / 1320円(税込み)


毎回(過去のニフティブログでも)ご紹介し続けてる、

この描き手さんの新刊。


これまで通り、

この世界観の街に引っ越したい、って思わせてくれる、

ワンダーJAPON” 的なマンガ。


  --- --- --- ---


今回も凝った趣向の表紙です☆











タイトルにもなってる一編その商店街を解剖するような、

描き手さんの偏しゅうぶりの窺えるそこに目を凝らしてしまいます。


  --- --- --- ---


新刊に収められてる16の小編に、いつもどおり

ユニークで、妙で、夢幻的で、日常の眺めが違って見えてくる

そんなエッセンスに詰まったものばかり。


「正しいコンビニおにぎりの開け方」だとか、


「建物のビルとは、ビルの芽、が育つことで立ち現れるもの」だとか、


「商店街とは、その入口から奥へ向かって寂れていくもので、

 その寂れた後方の古い区画を商店街の先頭へ移転させることで

 “商店街の新陳代謝を図っている”、つまり、ちょっとずつ前へ前へ

 移動してってる(生きもののような)もの」だとか。


などなど。


  --- --- --- ---


そんな小編のなかでも、ちょっと魅かれたこの一編に……。


主人公の運転していた車が、

一台の車と激しくぶつかる事故を起こしてしまうんです。

それはもう、運転席から外へ放り出されてしまうくらいの、

お互いの車がバラバラに!ってほどの。


それなのに、なんと! 

運転手にふたりとも無事なのもさることながら、

両方の車が、大破にあるほどだったのに、そうにないんです。

それぞれの車の部品が混ざり合う具合に、組み上がってるっていう……。















そんなこと、普通に考えたら「あり得ない」って思えますよね。

でも、確率って目で見たなら「あり得る」と。


地球に生命が発生する確率は、

25メートルのプールにバラバラにした腕時計の部品を投げ入れて、

水流でたまたま元通りに組み上がる可能性と同じ、で、

そんな星の上で起きた事故なんだからあり得なくはない、って。


お話はその後、

「あり得る」可能性をもとにして両車を元通りにしようと……。


天文学者フレッド・ホイルって人の述べてる、地球上に生命誕生の確率に、

「廃材置き場に竜巻が通過したあと、その廃材でジェット機ボーイング747が

 でき上がっているようなもの」

というたとえがあって、腕時計のもその類例。


この一編を読んでて、

人それぞれに願うことが途方もない確率の上にあったとしても、

可能性に決して無ではない、って思いに、勇気をもらいました。


  --- --- --- ---


参考までに ~ 過去の、同じ描き手さんによる単行本のご紹介ページ。

 去年のご紹介

 おととしのご紹介

新刊の帯にもありますけど、今刊で10冊目(インディーズのも含めて)。


恐らく来年中に出るはずの11冊目に待ちどおしい、

今年中にどうにか発売されてうれしい新刊なんでした。