今年の夏空をいつでも振り返れるように……


今月のある日の空を。











今年もじわりじわりと過ぎ去ろうとしている夏。

とはいっても、まだまだ暑いです。


“毎日が夏休み”そんな大島弓子さんの漫画タイトルみたいな、

夏にずっとの日々にならないものでしょうか……

(と、今年も同じことを思う)。


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暑い季節に聴きたくなる、メロディーに爽快な一曲に……



「BLUE COLOUR WORKER」


高橋幸宏さんのアルバム「音楽殺人」から、

細野晴臣さん作曲の、サンディーさんのバッキングコーラスにさわやかな、

クセになる音楽。


夏といえばSF(サイエンスフィクション)ですよね……

 

と思うんですけど、いかがでしょう?


暑い夏にうだるもあたたかい空気に包まれ “若返るような感覚” が

過去へタイムスリップ、タイムリープしてるのに似てません?

“時かけ” みたいにダッシュしてジャーーーーンプ!


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今回はそんなジャンルにすてきな漫画をご紹介。

未来へ思いっきりジャンプさせてくれます。


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「未来さん」新谷明弘

1998年9月4日初版発行/880円+税


「原始的な意識」が良くも悪くも法律で囲われるくらい、

結構激しく文明の進んでるそんな世界に暮らす大学生、

高橋亜鉛子(あえんこって名前に好感)の日常の物語。


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この世界で暮らす亜鉛子は、

(そのシステムを受け入れてる人に皆そうみたいです)

デジタル情報を直接脳で触れることができる存在。

攻殻機動隊のあれと同じですね。

(↓耳たぶにジャックをインです)


基本的に一話完結で読み切れる、全一巻。


ご先祖と出会う話、選挙に投票する話、

カレーを作る話、サッカー観戦の話、バイトする話、など、

どれも他愛無い話って感じですけど、ただし、

進んだ文明を下敷きにしてるところが味噌。


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話ごとに登場するテクノロジーにこんなふう。


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亜鉛子の8代前のご先祖が眠ってる冷凍睡眠装置



人による院と、電脳による院で運ばれている政治



主要な風味の凝縮された「万能ブロック」と、

それを数値設定で好みの味に変えられる「専用調理家電」



「冷却装置付きの服

(冷却ファン付きジャケットの進化版みたいな)」と、

家賃に高めですが夏に涼しい「海中マンション」



地下鉄ならぬ、「地下航」



人間対ロボットによるサッカーの試合



とてつもなく壊れにくいハードディスク



季節の空気(暖かい空気や冷たい空気)を保存できる

エアコンの進化系ともいえそうな装置に、

「土鍋型の “蓄熱機(冬に利用)”」と

「ペンギン型の “蓄冷機(夏に利用)”」


   ~ ~ ~


といったふうにテクノロジーの進んでる日常にあって、

そこに反対する思想一派が活動しているのも常のよう。



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このような雰囲気の「未来さん」、どうでしょう。

古書店さんなどで手に入るとも思いますが、電子書籍でならすぐ。

よければ一読を。


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コロナ、状況にまだまだよくないですね……

用心にひきしめてまいりましょう。


夏にさわやか&細胞若やかアップ用セレクト

 

今の季節に限らなくてもいいんですけど、

個人的に心地よい曲を少し。


シンリズム「FUN!」


婦人倶楽部「旅とフェリー」


あっぷるぱい「カルピスソーダの夏」


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さわやか補給を大事にしてまいりましょう。


3号の内容は渋めかも、ワンダーJAPON……


やっと手に入りましたワンダーJAPON『第3号』。


今回も日常からひっそり忘れ去られてる、

または堂々と普通に溶け込んでる、佇んでるワンダーたちが

ページをめくるたびに紹介されてます。


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「ワンダーJAPON 3号」

定価:1540円 現在発売中 (発売日:2021年7月9日)


表紙の写真に、特集タイトルに下段がちょい高圧的……かな、

でもそんなことないですよ。









ページをめくれば、

魚の鳥居(漁師町にある神社)、

うねりに根太いその生命力に畏怖を抱かせる樹齢のご神木、

アバンギャルドで硬派なコンクリート打ちっ放し建築、

緑に覆われててラピュタ感ある佐渡金山関係の遺構、ほかにも……。


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マニア向けに拭えない雑誌だから

広くはウケないとわかってますが、応援です。

よろしければお手にどうぞ、日々の疲労を癒してくれますよ。


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東京オリンピック、開催されましたね……うーむ。

とにかく、まだまだコロナ感染に治まらないもと、

大事なくあってほしいですね……。


復刊されたものがほしい、愛読してやまないコミック……


手元にあるのは旧版の単行本で、

年月が経ってるので紙の痛みにとても心配な状態。

復刊されてるのでそちらが欲しいんですけど……

旧版とおなじように入手困難で、どちらも古書店などで

売られてたとしても高値……1万円近いのとかやめてほしい。


そんな一冊のご紹介。


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「踊るミシン」伊藤重夫

1986年11月30日初版発行 / 1200円


短編一本と、表題作が収録です。


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表題作の方に、以下のようなぐあい。


















お話は、

ひとりの少年(つんつん髪)を軸にして、

あるひと夏の時間が

幾つかのエピソードを介して過ぎ去っていくまでを描いたもの。


と、ざっくり言ってしまえばそう簡単なんですけど……
















ページをめくるごとに登場するエピソードっていうのが、

たとえば、

「マンションから飛び降りる(人の顔をしていない)鳥男」

「船で釜焚きに務めていた際に魚雷の一撃で十日間海に流された大家さん」

「猟奇殺人に走る新聞配達員」「生徒会長の死」

「押し入れの中のブラックホール」……みたいな、

それぞれの関係性にまるでない調子。




















そんな個々に色の違ったエピソードが連なり編まれてる本編なので、

理解になかなか一筋縄ではいかない展開。
















お話があるようでいて、ない。

そんな調子で、ポップでアングラっぽさも漂う絵柄ともあいまって、

お話の表や裏を読むことにあれこれ楽しませてくれるような、

そこが心地よくて、また切なくもあって。

















心地よくて切ない、って抱いてしまうのは、

まだ社会を知らない若い年代の頃(主人公の年齢)っていうのが、

(人によるのかもしれませんが)なにをするにも一貫性に欠けて

断片的なエピソードの連なったような日々を生きている、

それをページ越しに感じてるから、と。










その感じ、社会をいくらか知った者にとって、

ノスタルジーを味わってる、とも。


神戸の方を舞台にしてるところと、また、

死というモチーフがこれまた軽くページに現れてくる感じ、

どことなく村上春樹の小説の雰囲気をおぼえる、

「踊るミシン」。


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「踊るミシン」の前に短編があるのですけど、

そちらは“エルモア・ジェイムス”っていうアメリカの

ブルースギタリストの生涯を描いたもの。


表紙を入れて11ページの短編に、その描出の軽やかさに、

やはり音楽をモチーフにした村上春樹の短編っぽさを

おぼえもする一編。










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手に入る機会がありましたら(それも安値が望ましいです)

ぜひどうぞ。素敵な一冊です。


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この先どうなるかまだわからないコロナ……

注意の日々です。


「へび女」……