横浜美術館で開催中(6/28~11/3、2025)の展覧会、
「佐藤雅彦展 新しい ×(作り方+わかり方)」
足を運ぶのにすんなりいきませんので、
図録だけです。

「作り方を作る」佐藤雅彦展 公式図録
2025年6月30日 第1刷発行 / 左右社 / 2970円(税込み)
手がけられたものにこれを見ればきっと瞭然、
そんなワードがデザインされた表&裏表紙。

図録ですけれど、その冒頭でも述べられてるとおり、
展示に個々の紹介っていう構成じゃなくて、主に、
それらを作るに至ったいきさつや、具現するための方法、
ルール、トーン(世界観)、ものの見方、といった、
このお方の思考のありようがつづられてる、そんな具合。
もちろん展示されてる作品(インスタレーション、映像、
出版物、販促物、など)のリストも載ってます。
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個人的に、
図録の表紙に一番大きな文字で目立ってるそれよりも、
広告業界で名を馳せたお方って印象に強くて。
その手がけられた広告(テレビCM)に幾つかを……
<湖池屋/コイケヤ・ジャガッツ「主婦と犯人」1988>
<湖池屋/コイケヤ・スコーン「スコーンダンス」1988>
<NEC/バザールでござーる「寄り道はいけないでござーる」1991>
<サントリー/紅茶「PEKOE」1993>
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そして、これですよね。
どのピタゴラ装置にもそうで、
ビー玉が装置のセグメント・ギミックに一つひとつの工程を
転がっていく様子にいとおしい、そんな一連に紡がれていく
ビー玉の物語を観てるだけで脳内活性される、
そんな学知に純粋無垢な面白さ。
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この図録を読んでたら、広告業界までの内容が
こちらの書籍と重なってるのに気づいて、でも
絶版ぽいからそのあたりを図録がカバーしてるのかも。

「広告批評の別冊8 佐藤雅彦全仕事」
1996年6月1日 第一刷発行 / マドラ出版 / 2900円(税込み)
広告(CFやグラフィックなど)、
雑誌類に掲載されたエディトリアルもの、ほか、
今回ご紹介の図録にそれ以上の数、種類の図版が載ってます。
注目に、
あのフジカセットYMOキャンペーンのプレミアムで制作された
テクノバッジ「ピテカントロプス・エレクトゥス・トキオヌス」が
図版に小さいながらも紹介あって、嬉しい。

それが展覧会で見られるのって良いですね、
古いものだし飾られるだけかな、
動作に光ってくれてたりしたら嬉しいな、と。
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ということで、
このお方に、また手がけられたものに興味関心を
お持ちでしたら、いい図録です。