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たしかにニューウェーブとあった時代の、
個々の粒子の結合その構造に豊饒の織りなされた、
見好くうつくしい結晶。
川崎ゆきおさんを知るきっかけに、この一冊でした。
いつ買ったのか忘れてしまったけれど、ずっと大切にしています。
(経年劣化という物理現象にはどうあがいてもかないませんけど……)
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「マンガ宝島(S57.3.1 発行)/ 480円」
古書として現在の価格にわかりません、
でもそんな高くない気も……
メインの表紙にあります、
ニューウェーブからネオ・ロマンティックスへ、と。
そこに集った執筆陣の並びに豪華で、もうすでに、伝説。
(あと高野文子さん蛭子能収さんのお名前があったなら……とも)
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収められた作品の表紙に幾つかを。
その2へつづく……
川崎ゆきおさんに、
猟奇王、それから、怪人二十面相、忍者、くのいち、怪傑、探偵、など、
その生み出されたキャラクターたち。
見てるだけで川崎ゆきおさんの世界にスロンと溶け入るような表紙の単行本に、
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こちらに幻惑を催させるふうで、お話にも
相性よくて、独特のおぼえに好感。
(←「夢伝説」)
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怪人、怪傑にとって宿命“ロマン”に走ること……
そこのところに生きづらい現実と重なるおぼえから
センチメンタルの呼び起こされるふうもあって。
1998年 4月7日 初版第一刷発行
大阪から東京へ、東京猟奇軍団アジトへ遊びにやってきた猟奇王(と忍者)。
自らの存在性の見出しにくくなった現実社会に、ある女子大生との
出会いからその身が社会に縛られない自然体であることを感取、
怪人として行動に出る、走る。といったお話。
本文中の挿絵が良いんです。
アドバルーンが銀座を去っていくなか、
地上に野次馬一人ひとりが一つにまとまり群衆となって猟奇王を、
その宿命“ロマン”を追いかけてるそんな眺めが、
普段“ロマン”なんて意識もしない群衆にすべてのときめきにも感じられて。
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この今の時代からさらに先へとロマンに走って頂きたかったのですけれど、
その思いで、これからも作品のページをめくることでしょう……。
こちらのブログにお越し頂いているみなさんへ
暑中お見舞い申し上げます
関西も梅雨が明けました、猛暑酷暑に無茶しない範囲にもちろんで、
肌身に夏の吸収を。
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これ読んでみました。
1巻:2022年10月31日 初版第1刷発行 / 792円税込み
2巻:2024年3月2日 初版第1刷発行 / 990円税込み
ゲームを作りたい、っていう主人公(の一人・ヨウ)の衝動から始まり、
その制作に集まった、こんなことがなければ繋がらなかったメンバーたち。
ゲーム制作にそうはうまくいかない、けど、だんだんよくなっていく、
そう日月の流れていくなかで、メンバーに一人ひとりの決してゲームではない
人生に、個々にたがえる事情から抱える心模様などがあって……
でもそれぞれに立ち止まることなく、やがてゲームの方もどうにか形となり
待望のリリースを迎え……。
この作品を描くのに参考とされた書籍や映画のリストが2巻末に載ってて、
それら参考文献のタイトルのなかに見られることば「ADHD」「発達障害」
「LGBT」「ハラスメント」、といった、日常からの理解にまだへだたりの
見えてならないそれらが、話に、登場人物の設定にあって、
絵柄に軽くあるんですけどそのぶん深く染み入ってくる触りで、
読者の感情移入その度合にも色濃いものと。
ゲームがリリースされて登場人物たちは顔を合わせるのに遠のくけど、
関係に切れることなく久しぶりに一同集まるシーンなんて、読んでる方も
ほっとする気分。親しい仲との再会に近況報告なんかほんとそうで、
なくてはならないシーン。
生きていくのにたやすくいかない、そんな現実に否応なく続くけど
そこへ救いを伸べてくれてる、って印象もする漫画。
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タイトルに略すと「ここ鴨」、ぜんぶひらがなにすると「ここかも」。
絶対にそこ、って感じじゃなくても、そんなふうな場所がある、って
思えるだけでも人は心強い。それは、実際の場所であっても、
目には見えない場所によりどころであっても。
そういえば、ブログに昨年末の、
奈良美智さんの個展にその図録タイトルに「ここから」でしたけど、
「ここかも」とも通じてるものがあるような気が……。
実写なら出演者で華やかになるとも思えたんですけど、
原作に絵としてでき上ったキャラクター性を極力崩さない方向で
というなら確かにアニメーション表現で話を起こしていくのが
もとに近しいありようで良好と。
個々のキャラクターに生動あるところを早く見たいです。
〇 〇 〇
2024年5月21日 第一刷 / 990円
長い年月を経て、これに完結を迎えました。
最終巻を読み終えて、この先の淡島歌劇団に
想いを馳せずにはいられません。
これにつきる感です、
作中に出版されるノンフィクション本の舞台化で、
これまでの光の当たってこなかった暗部に澱みもひっくるめて
淡島歌劇学校そこに流れる血脈に真であることが試される、
決してやすく純粋に無垢とはいかない世界で、未来に永永。
それを客席から鑑賞する側も、演じる側に継がれていく血脈のほどに
もちろん伝わらないわけがなく、そこに同じく未来に永永と。
あとがきにも触れられています、その
現実の歌劇団で起きてしまったできごとの
どうしても思い出される本編にあって、
こうして描き切られたことに、創造することへの真摯をおぼえます。
未読の方がおられましたら、ぜひ。
ようやく発売されました、年に一度のお楽しみ。
〇 〇 〇
2023年12月5日 初版発行 / 白泉社 / 1320円(税込み)
この描き手さんの新刊です。
これまで通り、
この世界観の街に引っ越したい、って思わせてくれる、
“ワンダーJAPON” 的なマンガ。
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今回も凝った表紙です。
タイトルにもなってる一編そこの商店街を解剖するような、
描き手さんの偏しゅうぶりの窺えるところに目を凝らしてしまいます。
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新刊に収められてる16の小編に、いつもどおり
ユニークで、妙で、夢幻的で、日常の眺めが違って見えてくる
そんなエッセンスに詰まったものばかり。
「正しいコンビニおにぎりの開け方」だとか、
「建物のビルとは、ビルの芽、が育つことで立ち現れるもの」だとか、
「商店街とは、その入口から奥へ向かって寂れていくもので、
その寂れた後方の古い区画を商店街の先頭へ移転させることで
“商店街の新陳代謝を図っている”、つまり、ちょっとずつ前へ前へ
移動してってる(生きもののような)もの」だとか。
など。
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そんな小編のなかでも、ちょっと魅かれたこの一編に……。
主人公の運転していた車が、
一台の車と激しくぶつかる事故を起こしてしまうんです。
それはもう、運転手が運転席から外へ放り出されてしまうくらいの、
お互いの車がバラバラに!ってほどの。
それなのに、なんと!
運転手にふたりとも無事なのもさることながら、
両方の車が、大破にあるほどだったのに、そうにないんです。
それぞれの車の部品が混ざり合う具合に、組み上がってるっていう……。
でも、確率って目で見たなら「あり得る」と。
地球に生命が発生する確率は、
25メートルのプールにバラバラにした腕時計の部品を投げ入れて、
水流でたまたま元通りに組み上がる可能性と同じ、で、
そんな星の上で起きた事故なんだからあり得なくはない、って。
話はその後、
「あり得る」可能性をもとにして両車を元通りにしようと……。
天文学者フレッド・ホイルって人の述べてる、地球上に生命誕生の確率に、
「廃材置き場に竜巻が通過したあと、そこの廃材でジェット機ボーイング747が
でき上がっているようなもの」
というたとえがあって、腕時計のもその類例。
この一編を読んでて、
人それぞれに願うことが途方もない確率の上にあったとしても、
可能性に決して無ではない、って思いがし、勇気をもらいました。
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参考までに ~ 同じ描き手さんによる単行本の紹介ページ。
帯にもありますけど、今刊で10冊目(インディーズのも含めて)。
恐らく来年中に出るはずの11冊目も待ちどおしい、
どうにか今年中に発売されてうれしい新刊でした。
秋ごろより続いていた繁忙からぼちぼち抜け出せたような、
そんな気配。この記事が作成できてるのだから、そのはず。
これであとは難なく年末年始を迎えられるはず。
もう年末ってことで、どうしてもこの感に否めない、
“一年って過ぎるのに早い”
それなら、
そんなスピードに乗って今年のいやなことはうしろへ忘れやり、
いいことだけを持って迎えましょう新年に2024年。
〇 〇 〇
繁忙だった毎日に、それでも休憩タイムだけは絶対確保。
そんな一服どきに、糖分とともに摂取だったなかの一冊に、
これをご紹介。
2023年 9月10日 初版発行 / ぶんか社 / 640円(税込み)
「ちび本当にあった笑える話」ってシリーズの217号目。
全国から寄せられた体験談をもとに描かれた四コママンガが
いっぱい読める、みたいな。何篇かのエッセイ風ショートマンガも。
表紙を含めて400ページを、
一服どきにちょっとずつめくってました。
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載ってる四コママンガの内容は、表紙にあるとおり。
おもに軟派で下世話な雰囲気もまじえながらの、
職業にあれこれの、働き手でなければわからないウラ話、
消費者側からしてみれば知らなきゃよかった、逆にいえば
知ることができて今後の役に(立つのか立たないのか)……
そんなふうな。
ページをめくればこんな感じ。
どれくらいほんまのことが載ってんのかわからへんけど、
世の中を支え続ける生産消費サービスそこにある裏側の暴露。
それがあくまでも体験談マンガって体とわかってても、
決して明るくない世情を思うと、読んでて
薄っすらと毒におかされていくような感じも。
社会を構成するヒトその裏側、暗部の共有、とも読めるふうに、
217号も続く所以に ( ゚д゚)ウム
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そんな「ちび本当にあった笑える話」ってシリーズ、
ほかに既刊の各号のメインテーマを調べてみたら……
それを適当に拾ってみると、
・ザ☆密告まつり
・仕返しするぞ!! / 痛快!仕返し大集合
・スカッと復讐
・お仕事ウラのウラ / 世の中ウラのウラ
・最凶!恐怖体験 / 真夏の恐怖話
・やっちまったGP
などなど( ぶんか社のHP より)
表紙を見る限り、世のヒトのありように
カリカチュアライズのオンパレードみたいな。
中身にどんな感じなのか、読んでみようかな。
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ということで、今回は
世の中(ヒト)を知る入門書ともいえそうな一冊のご紹介でした。
お手に取るなら、ウラを返せばって読み方に、注意してご覧あれかも。
その原作となる漫画がはたして
どんなふうに調理されてるのか。
同じ原作者の「子供はわかってあげない」その映画はよかったので……
うまくあってくれたらいいんですけど。
〇 〇 〇
KCデラックス 全3巻 各715円(税込み)/ 講談社
最終巻に第3巻が2020年9月9日に発売。
個人的に、絵の抜け感がちょうどいい。
そこに物語が、人間の単純とはいかない思い、
そんな色合いがすんなり溶け込んでるって感じがいい。
全体から受ける軽妙洒脱といった印象。
でも内容にさっぱりした感はないんですけどね。
そんな雰囲気で作品のバランスが成り立ってる感に、
それゆえ実写化された映画が心配……。
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あらすじはマンガペディア(ネタばれ注意)を見てもらうとして。
ほんと、読んでて物語を馴染みやすくさせる、
ページ全体から漂う余計な力みのない雰囲気、感触。
そうあって、
シェアハウスにひとつ屋根の下で暮らす主要な二人それから
ほかのキャラクターたちに与えられた設定・相関による、
現実では早々お目にかかれない “フィクションならでは” の物語、
クリエイティブ性。そこんところの面白さ。
〇 〇 〇
全巻読了されてる方は、どう思われたでしょう。
この物語の展開にキーでもあるところの感情に、「怒(いかり)」。
主要な二人がうまく怒れないんですよね、
抱えるところの思いに。
〇 〇 〇
人は許せないことがあっても、うまく怒ることができない。
ただただ単純に怒ることだったらできると思うんですけどね、
それはもう馬鹿みたいになって暴力的になって、なら。
人は(大なり小なりとしておこう)煩悶する生きものだから、
単細胞でない限り怒りの衝動に抑制・ストップがかかるものと。
「あー腹が立つ!その元凶どうにかしてぶっ壊してやりたい!」
って湧き立っても、思うままに破壊し尽くしたりはしない
(というのが理性の上に一般的、って言い方すると安易?)。
あ、でも待てよ、現実を見渡してみたら……
例えば、ニュース・報道で触れるところに、
暴力的となり気狂いの域へと入ってしまう人に多々あって、
それがもう当たり前に日々の暮らしに溶け込んでる。
そう考えると、この作品って、
「怒(いかり)」その感情によって生じる煩悶、苦しみから湧き立つ血気
それに任せて乱暴に突っ走らんとすることへの抑制その欠落が
やすやすと見える日常を踏まえた、よくできた愛々しいファンタジー、
とも読める、みたいな。
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この「水は海に……」の映画は、原作からの産物なだけであって別物。
この漫画自体は十分楽しめますので、未読の方がおられましたら
お手もとにいかがでしょう。
今月1日、ジャニーズ関連で話題にあった「滝沢秀明」。
今はツイッターアカウントを開設し、これから「冒険家」として
活躍されるようで……響きいいですね、冒険家、って。
その意味合いに色々でしょう。思えば、人は誰しも冒険家、っていえます。
ふと、そのワードに、川口浩探検隊それから藤岡弘、探検隊が
浮かんできてしまった。滝沢秀明探検隊シリーズ、スタイリッシュにいけそう。
で、滝沢秀明といえば、ってことで思い出したのが、
主演で実写ドラマ化されたこの漫画。
〇 〇 〇
2008年 6月 10日 初版発行 / 新書館 / 630円+税
単行本じゃなくて、文庫本の方。
携行して読んでました。
もとから細かい線文字とか文庫本版でさらに縮小されてますが、
でも読めなくはない。拡大鏡があれば読みやすいでしょうが。
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この作品の概要に“ウィキ”を見て頂くとして、
久しぶりに読み返してみて、このふうていのメンツのそろい踏みに、
若、小野、エイジ、千影、を見たなら、“実写ドラマ”化したいとする
気持ちにくみ取れる。キャラクターの線に大事、とおぼえる漫画。
とりあえず、千影さんを。
〇 〇 〇
アニメ化もされてますが、
実写ドラマの方が印象に残ってます。
実写ドラマ化にあたり、エッセンスにテレビとして使えるところの
抽出されたシナリオでしたがそこに悪くなかったし、配役も悪くなかった、
また、演出もよかったし、ドラマづくりに大切な音楽、ドラマ中に使用された
楽曲がミスチルにオンリーでそれがうまくあいまってよかったところが、
印象に残ってるわけと。
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世間に「滝沢秀明」の話題からの、再読でした。
ドラマも再観してみようか。
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コロナ、第8波……収拾しそうでまだまだそうはいかない……
作為的なものを感じてしまいたくなるような……。
ですよね。ということで。
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2022年 10月 5日 初版発行 / 白泉社 / 980円+税
この描き手さんのマンガを読んでると、ほんと、
登場人物の住んでる町・その世界に引っ越して暮らしたい、
って思ってしまう(やっぱり疲れてる、ってことか)。
およそ年一の周期で現世に現れる、
出版物に単行本という形態を取ったもう一つの世界線、みたいな。
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この新刊に、いつもの妙加減にもちろんのこと、
ワンダーJAPON(旧JAPAN)的な、
タモリ倶楽部にあった企画ネタみたいな、
そんな感じのところに健在で、惹かれます。
もし、この作品が映像化されたなら、
動きを伴った世界観が見られるわけだから、
うれしいことこのうえなしです。
背景は3D・CGIで構築、
キャラクターは2Dでそれも手描き線で表現、みたいな。
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いつもどおりの雰囲気に楽しいこの新刊、
よろしければお手もとにいかがでしょう。
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新型コロナ、どうなんでしょう……
なかなか心配にやみません。
間もなく迎える冬に、インフルエンザにも注意です。