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「へび女」……


新年おめでとうございます。


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楳図パーフェクション!1「へび女」

2005年9月1日 初版第一刷発行 / 小学館 / 1143円+税


三作品収録、すべて“へび女”のお話。

収録されてる順に読み進めていく、と、

最後の作品のラストが最初の作品へつながるそんな構成、

自らのしっぽをくわえた輪っか状のウロボロスを想起させる、

“永遠であり不滅”の恐怖、その円環。


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いつ読んでもこころ鮮やかに戦慄。


「おろち」「まことちゃん」「わたしは真悟」、……


ほかのタイトルにもそう、みなさんと同じように、

読み続けてきました……。


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まことちゃんの単行本、たとえばこの12巻に、

その表紙のおちゃめで、ポップでロックなこと!

かわいいですよね、まことちゃん。その、ある意味

“けがれのない無垢っぷり”にはなにかとあれですけど、

それはマコリンだけじゃない、お姉ちゃんも両親も

祖父母だってそう、常識なんて軽っと超えて、そこに

人を惹きつけてやまない怖いくらい強烈な刺激があって!

沢田家の一致団結したときなんてもう!日曜夕方6時台の

テレビアニメでお馴染み“国民的”として愛される家族像に

こちらだって!

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「奇蹟は 誰にでも 一度おきる

だが おきたことには 誰も気がつかない」

さとるとまりんを思い出すと涙が……。

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読み返すたび胸奥に浮揚する、

それが生そして死への向きにひとかたならぬ純粋ゆえの、

人間の表裏描写にその醜さが、哀情のほどが、

憎悪に満ちた輝きが、……。

それらが、美しい登場人物や黒く彩られた情景などに

極まり、読者に恐怖のかせを引きずらせる。


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ひとことで、偉大、な方。


「逢沢りく(上下巻)」に、……


遅ればせながら。猫村さんは実写の観てました。



上下巻ともに:2014年10月25日 第一刷発行/1000円+税


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以下感想に長々しくなく。ネタバレみたいなのご容赦


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十四歳のりくに清澄のほどを読みました。


その蛇口をひねるかっこうでなく心底からの、

ひざをつきこらえきれぬ胸から声を上げ滂沱とする最後に、

泣きました。


お話の肝に、親せきの幼い子“時ちゃん”とのかけ合いに、

そのときだけは普段とかわって自身を発してるりく。

双方いつわりのないかけ合いに、それはもうなくてはならない

“時間”で、だからその役割に踏まえられた上で“時男”って

名前がつけられたものと。


そもそも、

りくの父親が会社のアルバイトの女性と不倫してる(そのこと知ってる)、

母親も(りくを関西へやってから)過去つき合ってた男性と会う、

(本文に借りるなら)“大人として間違った”そんな両親と

同じ屋根の下で暮らしてるんだから、そこに思春期ってのも加味に、

感覚に鋭敏となってしまう、蛇口をちょっとひねるように

涙を流せてしまえるのもそうでしょう。


転校先(大おばさん家)に、その、

ぼけとツッコミの常日頃にそんな喋りようのまんべんない環境、

ってところに、作者が関西の方、嵯峨美(京都の美大)出てるから、

実際に親しくある土地柄を設定したものと、いえ、設定などと

ネームに構えずとも自然に必然にそうなったのに違いないものと。

そこに、もし引っ越し先が別の土地柄だったならお話の雰囲気に

どうなってたかなと、“時ちゃん”の存在はおそらく不可欠として、

その異なる線に思いのよぎったり。

転校先だけでなく“両親と住まう地”もひっくるめて、

そこんところの、土地柄を読む、という風趣の作品とも。


楽しくないし嫌いとする運動に片思いされてるそんなりくの、

足の速いところが軽妙なアクセントといった感で。


「マンガ宝島(S57.3.1 発行)」その2……

 











(その当時のマンガ界を見渡し、また未来をも思う)マンガ評論も。


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たしかにニューウェーブとあった時代の、

個々の粒子の結合その構造に豊饒の織りなされた、

見好くうつくしい結晶。


「マンガ宝島(S57.3.1 発行)」その1……


川崎ゆきおさんを知るきっかけに、この一冊でした。

いつ買ったのか忘れてしまったけれど、ずっと大切にしています。

(経年劣化という物理現象にはどうあがいてもかないませんけど……)


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「マンガ宝島(S57.3.1 発行)/ 480円」

古書として現在の価格にわかりません、

でもそんな高くない気も……







メインの表紙にあります、

ニューウェーブからネオ・ロマンティックスへ、と。

そこに集った執筆陣の並びに豪華で、もうすでに、伝説。

(あと高野文子さん蛭子能収さんのお名前があったなら……とも)


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収められた作品の表紙に幾つかを。



















その2へつづく……


怪奇ロマン派“川崎ゆきお”さん ……

 

川崎ゆきおさんに、

猟奇王、それから、怪人二十面相、忍者、くのいち、怪傑、探偵、など、

その生み出されたキャラクターたち。



見てるだけで川崎ゆきおさんの世界にスロンと溶け入るような表紙の単行本に、

「エディプスの怪人」「二十面相の風景」「活劇少女探偵」。


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舞台美術のような背景に好感、

演劇を鑑賞しているみたいで。

(←「夢伝説」)







網模様や格子模様などといったコマ背景も、

こちらに幻惑を催させるふうで、お話にも

相性よくて、独特のおぼえに好感。

(←「夢伝説」)







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とりわけ猟奇王が主人公のお話には、

怪人、怪傑にとって宿命“ロマン”に走ること……

そこのところに生きづらい現実と重なるおぼえから

センチメンタルの呼び起こされるふうもあって。


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「小説 猟奇王」川崎ゆきお

1998年 4月7日 初版第一刷発行


大阪から東京へ、東京猟奇軍団アジトへ遊びにやってきた猟奇王(と忍者)。

自らの存在性の見出しにくくなった現実社会に、ある女子大生との

出会いからその身が社会に縛られない自然体であることを感取、

怪人として行動に出る、走る。といったお話。









本文中の挿絵が良いんです。



コーヒーにミルクをいれるときの音
(赤瀬川原平さんも文章に書かれて
 いますね、この音のことを)

猟奇王と怪傑紅ガラス

猟奇王と山岸佳菜さん

猟奇王に買ってもらった豹柄の
黄色いマフラーを巻いた佳菜さん、
そして、
銀座宝石店美笑堂から宝石を奪取し
アドバルーンで逃げ去るところの
猟奇王と忍者のシルエット





アドバルーンが銀座を去っていくなか、

地上に野次馬一人ひとりが一つにまとまり群衆となって猟奇王を、

その宿命“ロマン”を追いかけてるそんな眺めが、

普段“ロマン”なんて意識もしない群衆にすべてのときめきにも感じられて。


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この今の時代からさらに先へとロマンに走って頂きたかったのですけれど、

その思いで、これからも作品のページをめくることでしょう……。


自分自身のありどころ……


こちらのブログにお越し頂いているみなさんへ

暑中お見舞い申し上げます


関西も梅雨が明けました、猛暑酷暑に無茶しない範囲にもちろんで、

肌身に夏の吸収を。


   〇   〇   〇


これ読んでみました。


「ここは鴨川ゲーム製作所」

1巻:2022年10月31日 初版第1刷発行 / 792円税込み

2巻:2024年3月2日 初版第1刷発行 / 990円税込み


ストーリーにざっくり……


ゲームを作りたい、っていう主人公(の一人・ヨウ)の衝動から始まり、

その制作に集まった、こんなことがなければ繋がらなかったメンバーたち。


ゲーム制作にそうはうまくいかない、けど、だんだんよくなっていく、

そう日月の流れていくなかで、メンバーに一人ひとりの決してゲームではない

人生に、個々にたがえる事情から抱える心模様などがあって……

でもそれぞれに立ち止まることなく、やがてゲームの方もどうにか形となり

待望のリリースを迎え……。


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この作品を描くのに参考とされた書籍や映画のリストが2巻末に載ってて、

それら参考文献のタイトルのなかに見られることば「ADHD」「発達障害」

「LGBT」「ハラスメント」、といった、日常からの理解にまだへだたりの

見えてならないそれらが、話に、登場人物の設定にあって、

絵柄に軽くあるんですけどそのぶん深く染み入ってくる触りで、

読者の感情移入その度合にも色濃いものと。


ゲームがリリースされて登場人物たちは顔を合わせるのに遠のくけど、

関係に切れることなく久しぶりに一同集まるシーンなんて、読んでる方も

ほっとする気分。親しい仲との再会に近況報告なんかほんとそうで、

なくてはならないシーン。


生きていくのにたやすくいかない、そんな現実に否応なく続くけど

そこへ救いを伸べてくれてる、って印象もする漫画。


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タイトルに略すと「ここ鴨」、ぜんぶひらがなにすると「ここかも」。

絶対にそこ、って感じじゃなくても、そんなふうな場所がある、って

思えるだけでも人は心強い。それは、実際の場所であっても、

目には見えない場所によりどころであっても。


そういえば、ブログに昨年末の、

奈良美智さんの個展にその図録タイトルに「ここから」でしたけど、

「ここかも」とも通じてるものがあるような気が……。


映像化されますね「淡島百景」……

 

実写なら出演者で華やかになるとも思えたんですけど、

原作に絵としてでき上ったキャラクター性を極力崩さない方向で

というなら確かにアニメーション表現で話を起こしていくのが

もとに近しいありようで良好と。


個々のキャラクターに生動あるところを早く見たいです。


   〇   〇   〇


「淡島百景」5巻

2024年5月21日 第一刷 / 990円


長い年月を経て、これに完結を迎えました。

最終巻を読み終えて、この先の淡島歌劇団に

想いを馳せずにはいられません。


これにつきる感です、

作中に出版されるノンフィクション本の舞台化で、

これまでの光の当たってこなかった暗部に澱みもひっくるめて

淡島歌劇学校そこに流れる血脈に真であることが試される、

決してやすく純粋に無垢とはいかない世界で、未来に永永。


それを客席から鑑賞する側も、演じる側に継がれていく血脈のほどに

もちろん伝わらないわけがなく、そこに同じく未来に永永と。


あとがきにも触れられています、その

現実の歌劇団で起きてしまったできごとの

どうしても思い出される本編にあって、

こうして描き切られたことに、創造することへの真摯をおぼえます。


未読の方がおられましたら、ぜひ。


日常の眺めに変化を与えてくれます「商店街のあゆみ」……


ようやく発売されました、年に一度のお楽しみ。


   〇   〇   〇


「商店街のあゆみ」panpanya

2023年12月5日 初版発行 / 白泉社 / 1320円(税込み)


この描き手さんの新刊です。


これまで通り、

この世界観の街に引っ越したい、って思わせてくれる、

ワンダーJAPON” 的なマンガ。


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今回も凝った表紙です。


タイトルにもなってる一編そこの商店街を解剖するような、

描き手さんの偏しゅうぶりの窺えるところに目を凝らしてしまいます。


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新刊に収められてる16の小編に、いつもどおり

ユニークで、妙で、夢幻的で、日常の眺めが違って見えてくる

そんなエッセンスに詰まったものばかり。


「正しいコンビニおにぎりの開け方」だとか、


「建物のビルとは、ビルの芽、が育つことで立ち現れるもの」だとか、


「商店街とは、その入口から奥へ向かって寂れていくもので、

 その寂れた後方の古い区画を商店街の先頭へ移転させることで

 “商店街の新陳代謝を図っている”、つまり、ちょっとずつ前へ前へ

 移動してってる(生きもののような)もの」だとか。


など。


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そんな小編のなかでも、ちょっと魅かれたこの一編に……。


主人公の運転していた車が、

一台の車と激しくぶつかる事故を起こしてしまうんです。

それはもう、運転手が運転席から外へ放り出されてしまうくらいの、

お互いの車がバラバラに!ってほどの。


それなのに、なんと! 

運転手にふたりとも無事なのもさることながら、

両方の車が、大破にあるほどだったのに、そうにないんです。

それぞれの車の部品が混ざり合う具合に、組み上がってるっていう……。


そんなこと、普通に考えたら「あり得ない」って思えますよね。

でも、確率って目で見たなら「あり得る」と。


地球に生命が発生する確率は、

25メートルのプールにバラバラにした腕時計の部品を投げ入れて、

水流でたまたま元通りに組み上がる可能性と同じ、で、

そんな星の上で起きた事故なんだからあり得なくはない、って。


話はその後、

「あり得る」可能性をもとにして両車を元通りにしようと……。


天文学者フレッド・ホイルって人の述べてる、地球上に生命誕生の確率に、

「廃材置き場に竜巻が通過したあと、そこの廃材でジェット機ボーイング747が

 でき上がっているようなもの」

というたとえがあって、腕時計のもその類例。


この一編を読んでて、

人それぞれに願うことが途方もない確率の上にあったとしても、

可能性に決して無ではない、って思いがし、勇気をもらいました。


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参考までに ~ 同じ描き手さんによる単行本の紹介ページ。

 去年の

 おととしの

帯にもありますけど、今刊で10冊目(インディーズのも含めて)。


恐らく来年中に出るはずの11冊目も待ちどおしい、

どうにか今年中に発売されてうれしい新刊でした。


世情の裏が窺える、コンビニ漫画本「ちび本当にあった笑える話」……


秋ごろより続いていた繁忙からぼちぼち抜け出せたような、

そんな気配。この記事が作成できてるのだから、そのはず。

これであとは難なく年末年始を迎えられるはず。


もう年末ってことで、どうしてもこの感に否めない、

“一年って過ぎるのに早い”


それなら、

そんなスピードに乗って今年のいやなことはうしろへ忘れやり、

いいことだけを持って迎えましょう新年に2024年。


   〇   〇   〇


繁忙だった毎日に、それでも休憩タイムだけは絶対確保。

そんな一服どきに、糖分とともに摂取だったなかの一冊に、

これをご紹介。


「ちび本当にあった笑える話 217 大特集 業界ウラ報告」

2023年 9月10日 初版発行 / ぶんか社 / 640円(税込み)


「ちび本当にあった笑える話」ってシリーズの217号目。


全国から寄せられた体験談をもとに描かれた四コママンガが

いっぱい読める、みたいな。何篇かのエッセイ風ショートマンガも。


表紙を含めて400ページを、

一服どきにちょっとずつめくってました。


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載ってる四コママンガの内容は、表紙にあるとおり。


おもに軟派で下世話な雰囲気もまじえながらの、

職業にあれこれの、働き手でなければわからないウラ話、

消費者側からしてみれば知らなきゃよかった、逆にいえば

知ることができて今後の役に(立つのか立たないのか)……

そんなふうな。


ページをめくればこんな感じ。



どれくらいほんまのことが載ってんのかわからへんけど、

世の中を支え続ける生産消費サービスそこにある裏側の暴露。


それがあくまでも体験談マンガって体とわかってても、

決して明るくない世情を思うと、読んでて

薄っすらと毒におかされていくような感じも。


社会を構成するヒトその裏側、暗部の共有、とも読めるふうに、

217号も続く所以に ( ゚д゚)ウム


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そんな「ちび本当にあった笑える話」ってシリーズ、

ほかに既刊の各号のメインテーマを調べてみたら……

それを適当に拾ってみると、


・ザ☆密告まつり

・仕返しするぞ!! / 痛快!仕返し大集合

・スカッと復讐

・お仕事ウラのウラ / 世の中ウラのウラ

・最凶!恐怖体験 / 真夏の恐怖話

・やっちまったGP

などなど( ぶんか社のHP より)


表紙を見る限り、世のヒトのありように

カリカチュアライズのオンパレードみたいな。

中身にどんな感じなのか、読んでみようかな。


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ということで、今回は

世の中(ヒト)を知る入門書ともいえそうな一冊のご紹介でした。

お手に取るなら、ウラを返せばって読み方に、注意してご覧あれかも。