読後感て、心身の調子で変わりやすいものですよね。……

 

前回紹介した漫画に、

その物語のキーとなるところに<怒(いかり)の感情>であり、

メインキャラクターの二人がうまく怒れないでいる、ってことに対し

個人的な印象をつづったりしたわけですけど。


その漫画以外に、

「怒(いかり)」の感情を主題にした一編があったのを思い出して、

該当の雑誌を引っ張り出して読み返しました。

 

その内容と、読後感をここに記しておこうかと。


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すばる 2017年12月号 / 950円税込み

古本として今買うなら定価に若干高いか安いか、

コンディションによるところ、みたいな。


表紙に、怒り、って文字が見えてますね。

「怒りの漂白剤」綿矢りさ


その一編は、書き手の短編集に単行本か文庫本か、

電子書籍で読めるんじゃないでしょうか。

調べてないのでわかりませんけど。


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この先、ちょっと読むのに長いし、読みにくくあるかも。

それしんどいって思ったらここまででいいですから。


--------- 以下にネタばれ注意でお願い ---------







この一編に、

自分(=書き手)の性格に怒りっぽい、

そんな怒りの感情ってものと別れられないか、と思う出発点から、

そうなってくれるよう実践する手だてに幾つかを介し考察を重ね、

最終的に至るところの思いがつづられてる具合。


---------------- それで、内容に ----------------


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※ 以下、()の中の言葉はわたしの解釈とか、です。

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手だて(怒りを抑える・散らす、といった処方)ってのに、

甘い食べ物の摂取だったり、ウォーキング/散歩にジョギングだったり、

を実践。


で、

運動の手だてに疲れた状態から、気づけたことがあった、と。


ジョギング中におぼえる疲労から自身の体力のなさに自分が嫌になり、

そこから心配ごとが脳を駆け巡り、

そんな一般的にストレスといえる状態の心を観察したところ、

ストレスを抱えている自分はしょんぼりって思いにある、と

(やるせなさにため息をもらす感じ、みたいな)。

でも、根底では「なんで私がこんな目に」って怒っている、と。

(なんでしょんぼりさせられなきゃいけないの!って感じ、みたいな)


ストレスは怒りの感情から発生しており、

また、ストレス以外にも、マイナスの感情といったものにも

怒りは微妙に含まれている、と。

(マイナスの感情といったものに、

 鬱屈、歯がゆさ、フラストレーション、など、みたいな)


で、

怒りの考察にあれこれあってからの、

平常心を守り続けよう、穏やかな心を持とう、

なんてことを自分に言い聞かせても簡単にはいかない、

って思いの吐露から段落に次いで、(タイトルにあるとおり)

「怒りの漂白剤」ってもんが売ってればいいのに、との考えが。

それがあったなら、

どす黒く汚れている心がたちまち透明な美しい水に生まれ変わる、と。


しかし、

「怒りの漂白剤」なんて存在しない。

そんな現実にあって、(なんと)半年間怒らない習慣を心がけた結果、

こんな意外な答えにたどり着いたのだ、と。


それは、











好きを好きすぎないようにする、ということ。


性格に怒りっぽいのと対極に、

好きなものはとことん好き、という “ひいき” 癖があって、

その好きなものを神格化しすぎないで、

距離を置いて良い面も悪い面も見極められるようになれば、

ものすごく嫌いだった物事のちょっとした良い面も見つけられ、

あんまり嫌いでなくなる、と。


(“好き” に偏りすぎる、そんな)強すぎるプラスの感情は、

逆にマイナスの感情に暗い影を落としている、と。


そうおぼえた上で、ほかに心がけるなら、

無理にムリなものと付き合わないこと、と。

分かり合えそうもない(マイナスの感情が働くであろう)

そんな事柄と接する状況にあっては、淡々とその要件を終わらせる。


ムリなものと付き合うこと、そんな苦行は楽に終わらせる。

それは怠けではなく、生活の知恵だと思うようになった、と。


好き嫌いその白黒をつけすぎない考え方で

(つまり怒りも受け入れるって方向性で)、

幸と不幸ってところも分けすぎにやっていけばどうか、と。

(そうすればマイナスの感情も抑えられ楽に生きられる、みたいな)


怒りには(マイナスのイメージに強いだけでなく)

神秘的なパワーを感じるときがある、と。

なにくそ、見返してやる!って、プラスのパワーに化けることも。

そんな奮起させる材料になったりもする、と。


でも、

奮起してまで、怒ってまで頑張りたくはない、と。

そんな本音をし、(最後の締めくくりに)

“できたら身体のどこにも力の入らない状態で、

 世の中の身近な平和を喜びながら、

 色んな物を見たり聞いたりできる限りたくさん経験して、

 すいすいと歩いて生きていきたい。” と。


--------- 以上、ざっと ---------


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読み終えた直後に、はぁそうですか、と声に漏れ出、

それまで読んできた内容のすべてが

最期の締めくくりに持ってかれた感じがしました。……


で、

その感から時間に経、改めて思ったところに、

あくまでもこの書き手の思うままの一編ですし、

怒りに対する考察にうなずける部分や、

面白いと思える部分もありましたが、

どうにも最後の締めくくりに強い引っかかりがしてならず、

そこにつづられた書き手の望みになんていうか、

そう、“いやらしさ” をおぼえる

(それは書き手の、いい意味での “手技” なんでしょうきっと)、

そんなところも読み物としての在りようなんだろう、って。


なぜ “いやらしさ” をおぼえるのか。

その考察に、

書き手が怒りっぽい性格に悩むところがあるとはいえ、

色々経験してすいすい生きていきたいだなんて、

結句なんだかんだ言ってもその書き手の過ごす日々に、怒りも、

マイナスの感情が酷く生じる苦行めいた状況もそう大してあるわけじゃない、

楽しんで生きていられる調子なんだな、って、そんな感触がして、

それが読者によっては鼻につく、「私の日々はあなたのよりも幸せ」

そうマウントを取ってくるふうに思えたりするんじゃないだろうか、と、

そんなあたりから。


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きっと少々疲れ気味のマイナスメンタル状態だったせいでしょう、

幾らかひねくれて見える目線でそんなふうに読んだ一編でした。


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ここまで長々と付き合って頂いた皆さまには、

ありがとうございました<(_ _)>


今回はここまで。あー、なんだか肩凝ったぁ。


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巷間にマスクをつける習慣が薄れつつあるみたいですけど、

コロナの波はまだ消えていません、引き続き用心してください。


6/9(金)から映画が公開されるということで。……


その原作となる漫画がはたして

どんなふうに調理されてるのか。


同じ原作者の「子供はわかってあげない」その映画はよかったので……

うまくあってくれたらいいんですけど。


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「水は海に向かって流れる」田島列島

KCデラックス  全3巻 各715円(税込み)/ 講談社


最終巻に第3巻が2020年9月9日に発売。


個人的に、絵の抜け感がちょうどいい。

そこに物語が、人間の単純とはいかない思い、

そんな色合いがすんなり溶け込んでるって感じがいい。

全体から受ける軽妙洒脱といった印象。

でも内容にさっぱりした感はないんですけどね。


そんな雰囲気で作品のバランスが成り立ってる感に、

それゆえ実写化された映画が心配……。


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あらすじはマンガペディア(ネタばれ注意)を見てもらうとして。


ほんと、読んでて物語を馴染みやすくさせる、

ページ全体から漂う余計な力みのない雰囲気、感触。


そうあって、

シェアハウスにひとつ屋根の下で暮らす主要な二人それから

ほかのキャラクターたちに与えられた設定・相関による、











現実では早々お目にかかれない “フィクションならでは” の物語、

クリエイティブ性。そこんところの面白さ。


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全巻読了されてる方は、どう思われたでしょう。












この物語の展開にキーでもあるところの感情に、「怒(いかり)」。

主要な二人がうまく怒れないんですよね、

抱えるところの思いに。


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人は許せないことがあっても、うまく怒ることができない。

 ただただ単純に怒ることだったらできると思うんですけどね、

それはもう馬鹿みたいになって暴力的になって、なら。


人は(大なり小なりとしておこう)煩悶する生きものだから、

単細胞でない限り怒りの衝動に抑制・ストップがかかるものと。

「あー腹が立つ!その元凶どうにかしてぶっ壊してやりたい!」

って湧き立っても、思うままに破壊し尽くしたりはしない

(というのが理性の上に一般的、って言い方すると安易?)。


あ、でも待てよ、現実を見渡してみたら……

例えば、ニュース・報道で触れるところに、

暴力的となり気狂いの域へと入ってしまう人に多々あって、

それがもう当たり前に日々の暮らしに溶け込んでる。


そう考えると、この作品って、

「怒(いかり)」その感情によって生じる煩悶、苦しみから湧き立つ血気

それに任せて乱暴に突っ走らんとすることへの抑制その欠落が

やすやすと見える日常を踏まえた、よくできた愛々しいファンタジー、

とも読める、みたいな。


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この「水は海に……」の映画は、原作からの産物なだけであって別物。

この漫画自体は十分楽しめますので、未読の方がおられましたら

お手もとにいかがでしょう。


まさしく、その通りです。……


芸術は長く、人生は短し


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今年に入って新潮の連載記事の終了を惜しんだところに……。


71歳は、

まだまだアクティブになれる年齢だと思います。

心身の状態によるとはいえ……


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本当にさまざまなところで教授の音楽を耳にしてきました。

こんなところでも聴けるなんて、といったなかにこの一曲。



テレビ放送のオープニングでこれが流れるのに、

素敵な一日が始まる、新しい一日に期待が高まる、

といったふうで、聞いていて気持ちいい。


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コマーシャルによくご本人が起用されていた印象も。

なんといっても教授ですから、それはもう映えます。

そんなCMのなかの一本に。



クリーンエネルギーについて、そのことを

大切に説いておられましたね。


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あまたの曲に、インストだけでなくご本人が歌唱されているものも。

あの教授ヴォイスによる歌唱その一曲に。

歌詞が胸にきます……。



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音楽だけにとどまらず文化面に広く多大な影響を及ぼし

その底上げをされた方だったとの印象も。


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高橋幸宏さんのときもそんな思いでしたが、本当に、

教授の創造した作品がいつまでも親しまれる世界であってほしい。


恒例となった、毎号のご紹介に。……

 

発売日から二か月ほど経ってますが、

ご紹介しないわけにはいきません。


これまで追いかけ続けてきたこのマガジン。


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「ワンダーJAPON」6号

定価:1540円(税込み)/ 発売日:2023年1月24日


今回の大特集に、広島・岡山のワンダースポット。

素敵、仰天、珍妙なスポットに和みます、癒されます。


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あの有名な犬(愛称・ニッパー)が
屋根になんと93体、壮観です。


魔界への入り口のような隧道。
個人的に、
このトンネル初めて知ったのは
九州朝日放送「ドォーモ」の
“前略、道路の上より”でした。



広島市環境局中工場(焼却工場)
映画「ドライブ・マイ・カー」の
ロケ地でした。


お稲荷さんがたくさん。
この神社に108体の、
ポーズにすべて違うお稲荷さんが
おられるそうです。



全ページ見どころに満載。

人が生きることその意味に(っていうと小難しく聞こえますが)

詰まっていると、いつもそう感じます。


そんなワンダーなマガジン、

よければお手にどうぞ。


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コロナウイルス対策、いよいよ落ち着いていくのでしょうか。

ひとまずTPOでマスク着用。それは必ず。

まだなにがあるかわかりませんので、十分気をつけていきましょう。

これまでどおり危険なのに変わりありませんから。


TPO、って意味に。

T:Time / 時間

P:Place / 場所

O:Occasion / 機会・場合


連載を読み終えました。……

 

文芸誌「新潮」の。












「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」坂本龍一


この2023年2月号をもって最終回なんて……。








第1回から最終回にかけて、

ここ近年のことを振り返ってみる、そんな内容でしたけど、

もちろんといえましょう、それより過去に話の及ぶことも。

音楽・芸術活動のことをおもに、

世情に政治経済、9.11、原発、震災、コロナ禍、

それからご自身の病状にともなう心身について、さらに、

両親のこと、ひとりの父親として家族のこと、など、

公にできる範囲でしょうけれど、語られていました。


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連載に最終回最後の段に、

「今後も命が続く限り音に触れ、

 新たな音楽を作り続けていくことでしょう」

とありましたので、その新たな音楽に

世界中のファンが触れられることは大いに喜びです。


今年2023年の誕生日1/17に発売されました、

日記のように(一日1曲)創作されたという12曲入りの

新しいアルバム。その次に新しい音楽を待ちたいと思います。


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今回の連載は間違いなく単行本化されると思いますが、

もしかすると、そこにさらなる日々の近景が追加される形で

一冊になるのかもしれません。


文芸誌のバックナンバーを入手するのは大変だと思いますので、

単行本が出た際は、お読みになってみてください。


「へび女」……