日々ちょっとずつページをめくり、
ゴールにたどり着きました。
ゴールした順位に必要なんてないですけど、
もしそれがあったなら、何位くらいなんでしょうわたしは?
〇 〇 〇
2023年 4月 10日 発行 / 2970円(税込み)
説明はいらないですよね。
“あとがき”を含む661ページの長編。
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購入された皆さんはどうなんでしょう、
すでに読み終えてますか? それともまだですか?
発売日(2023/4/13)から二三日で読破された方もいて、
凄いの一言です。
速読できる方なら一時間もかからずに読走してゴール?
速読のイメージに、そう、
アメリカンコミックの「フラッシュ」あの最速ヒーロー、
バリーの走りを思い出します。
身体中に稲妻バリバリって帯びてダッシュ(最新映画の予告編)
フラッシュの主人公の名前にバリーって稲妻バリバリからの……
それはいいとして、彼の最速ぶりをこの本の速読に置き換えたなら、
もうあっという間のゴールでしょう。
〇 〇 〇
読み終えたので、
チェックしたところを一つずつ読み返し、
感想のような、物語の印象のような、
わたしはこう読んだんですけどってあたりを、
小難しい解釈はどうも性に合わないので、
努めて平易につづり、記録しておこうかな、と。
ちょっと長いです。
あと、
ネタバレ要素があるので、未読の方にご容赦願います。
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「壁」があるんですよね、人それぞれに。
それが現実と非現実という認識を隔ててる。
その「壁」で分断された二つの世界を、
人それぞれは「実体」と「(自分の)影」を
別々にして生きてる、と。
自分に「影」がない状態で生きてる、ってことは、
それはもう死んでることに等しい。
物語の結構端から、
「壁」に囲われた創造の街(非現実の世界としましょう)で
主人公とその影が別々にされる場面があって、
それはもう、死んだように生かされる、といった格好に、
そんな“生と死に曖昧(不確か)”が基本の筋に見える、と。
物語のなかで、創造の街にいる主人公に対し
“無数の古い夢を読む”っていう作業が与えられてて、
それって、現実には夢がない、とも見て取れる。
確かに、現実を見晴るかすに、
夢なんて持てない、生きてる心地のしない眺めが
過去からうんと広がってる。
現実は生きにくい、って人が多くいるのはもう間違いなくて。
そんな人はどうしても「壁」に囲まれた(守られた、ともいえる)
創造の街、非現実の世界へと心惹かれる。
そこへ実際に(現実のものとして)行きたい、みたいな。
(※VRの世界でリアルそっくりに生きる、なんていい例?)
現実の世界に、そこで確かさをもって生きていけそうな、
心惹かれるなにかしらが現れたって、
そうやさしく自分の思いどおりになる展開とはならない、
ある意味「壁」(難儀、とか、試練、かな)をまとってる。
せっかく(非現実の世界にいるような、とも見える)
温もりのあるなにかしら(=夢のよう)が間近にあっても、
うまく味わうことができない。
そんな人それぞれにある「壁」って、
現実的でもあり非現実的でもあるところに、不確か、と。
それでも、実体と影に別々ではないわたしたち、人って存在は、
不確かな「壁」に囲まれた世界=現実で生きてくしかない。
ただし、どんな状況下(個人的な受難や世界的な禍など)にあっても、
ああなんて嫌な現実、って思わないで、
“自分の心に素直で、それを見失わなければいろんなことが
うまくいく”って文章中にあることから、この物語は、
俯瞰する目にそう見えてやっぱりっていうか、万人への救いの編、と。
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読了された方の数だけ異なった読み方があるのは
間違いありません。それは、
この作家の手になる作品にそうさせる向きが
あるだけでなく、読みもの自体そういうもの。
最後のさいごに、つづった印象をぎゅっと縮めたなら、
「今を生きることに自分を信じて」
そうなるのかな。
あ、(わたしなりの)バリーが走った!
現実逃避の願望は多かれ少なかれ、私も含めてだれでも持っていると思います。
返信削除実際にはなかなかできるものではありませんが、いざとなったら、壁の中の非現実的な世界に飛び込むことだってできるんだと信じて生きる方が、気持ちとして楽に生きられるように思います。
全ての現実を直視できるほど、人間強くありませんから…。
それが時間が経てば、「なんだこんなことだったのか」とひょいと乗り越えられる壁もあるように思います。
わたしはもう常に現実逃避したい派ですコウジ菌さん。
削除わたしの場合(あまたにもそのように思います)、
ちょっとした気分転換、好きなことに身を寄せる、
それがあって現実との折り合いに踏ん張れてる感じ、
身近にたとえば、好きな本を読む、映画を観る、音楽を聴く、とか、
それらを親しむことで、どうにか、ああ嫌な現実、って思うところとの間合いがはかれてる感じ
(間合いなんていうと戦ってるよう。いえ、そうとも…)。
そうすることが非現実へのダイブ、一時的な避難になっています。
人間としてまだまだ弱いので、
過去に引っかかりを覚える壁を乗り越える力に頼りないです…。
そんなわたしに、今回の一冊に救いを読めたような気がしたのはよかったのかなと。