ひとそれぞれ思い出にあるはずの「毎日が夏休み」気分……


雪が降り積もるのも当たり前になってきた年の瀬に、

もう来年の夏が、青空に燦々が待ち遠しい。


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今年8月の記事に夏空の写真を見、ふと、

そこの文中にこのマンガのタイトルがあるのに気づいて。

今回ご紹介してみたいものに、はやく夏がやってきてくれることを思い

(冬があるから夏に大事と思えるのにもちろんで)、これです。


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「毎日が夏休み」大島弓子

1990年3月17日初版発行 / 400円(税込み)


この一冊には表題作と、

原作者・大島弓子さんとその飼い猫「サバ」との暮らしぶりに

エッセイ風が二編収められてます。


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「毎日が夏休み」


わけあって登校拒否の林海寺スギナ(13歳)と、

こちらもわけあって会社を辞めた義父の成雪(なりゆき)。

そのふたりが、義父の立ち上げた会社になんでも屋を

やってく中で、スギナがその十代の多感でもって気づき

そして発見していく “それこそが「毎日が夏休み」の

ようだった” と、やがて大人になった目で述懐する、

そんな若やかな青春のときを描いたもの。








スギナと義父にそれぞれ登校拒否・出勤拒否なのが

母親にばれて、そこからなんでも屋を開業し、

最初は慣れないのだけれどそれでもこなすうちに

レベルが上がっていき、


仕事の依頼人に義父の元妻との出会いがあったり、


特に、かつての会社の同僚から送別会という名のもとで

幾分たちの悪い仕事の依頼・ジョークをやられるところ、

そこに我慢ならなったスギナの取った行動で義父の怒りを

買ってしまってお互い距離が生じてしまうのだけれど、

そのことを反省する義父からあらためて「必要(な存在)」

だと打ち明けられたスギナがそこである意味達観、

なにかと人間関係にうざいおぼえの学校との決別をやったり

(学校って居場所が自分にとって決して知識を学び

人生を歩む上で必要なわけじゃない)、


ほかにも、


まぁ、スギナの感性が心地よく詰まってるのは確かで、

案外重い、って思える内容も軽やかに読ませてくれます。


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エッセイ風に二編は、

愛猫「サバ」との関係を描いたもの。


サバは、思い出したんですけど、

映画「グーグーだって猫である」にも出てますよね。


エッセイ風に一編は、サバのストレスからのよもやま話。

もう一編に、サバを宿にするノミを取るシーンに端を発する

よもやま話、って感じ。けど、そこは大島ワールド、変幻です。


サバ、カラス、象のハナコさん、ノミ、それぞれに擬人化、

大島弓子さんも商社マンの夫に悩みを抱える代官山に住む奥様に

変身します。




ノミのミシェールとポーレット、
ノミなのにかわいらしい


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「毎日が夏休み」は実写映画(1994年)にもなってて、

それが大よそ原作のとおりで、よくできてました。

漫画とは別ものの扱い・アレンジになくて、それは、

原作がみごとだからっていえます。


映画とセットで楽しむのもいいかもしれません。

まずはこれから、いかがでしょう。


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オミクロン株によるコロナ感染が徐々に増えてきてますね、

気を抜かずに用心です。


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当ブログにお越し頂いているみなさま、

本年のお付き合いにありがとうございました。

よろしければ来年もひいきにして頂けたなら幸いです。


人は誰しもトラウマを抱えている……


年末の繁忙。


そんな時期に忙しい具合からの共鳴、影響なのかも、

癒し系でなくしんどい系の本をつい読んでしまう、


そんなところの一冊に……。


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「トラウマ類語辞典」フィルムアート社

2018年8月25日初版第一刷 / 2200円+税


トラウマ” の説明にここで詳しくはしませんが、

そこに触れたなら決して明るくない思いの呼び起こされる、

心のよどみ、とでも申しましょうか、


そんな “トラウマ” について、

現に思いつく種類のまとめ上げられた一冊。


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個々のトラウマについて、具体的な説明、

それを抱える人の性格・精神面のありよう、さらに

日常の行動、悪化させる要因、克服につながる場面、など、

わかりやすく教示されています。







“クリエイティブな作業に、キャラクター造形に便利”

そう謳われる本書。


ただ、自身に思い当たるトラウマがあり得る、

読み込んだなら精神的に深く参りかねない、

そんなおぼえからあくまでもこれは辞書として……。


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コロナウイルスの新しい変異株「オミクロン株」が

この国で見つかったというニュースが……。

この先に心持ち萎えてしまいますけど、これまでと同様、

常日頃に用心を忘れず努めてまいりましょう。


やっと届きました、遠地での企画展の図録……


予約してから手元に届くまでが長かった……

書店もアメリカへ取り寄せでしたから。


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「HAYAO MIYAZAKI」

2021年9月7日発売 /(発売日の為替レートで)5800円くらい


今現在アメリカのロサンゼルスに新設された米アカデミー映画博物館で

こけらおとしとして開催されてるオープニング企画展「宮崎駿展」、

その図録です。


ARTの巨匠の展覧会図録に共通した厚みのある、

いいつくりです。


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表紙にトトロで、裏は千とカオナシです。

裏には宮崎駿展の簡単な紹介文があります、

ジブリから初お目見えの資料色々で匠の技をご覧あれ的な。







「アルプスの少女ハイジ」や「ルパン三世 カリオストロの城」からの

レイアウト、また「風の谷のナウシカ」から「風立ちぬ」に至るまでの

イメージボードや絵コンテ、舞台設定、背景美術など、

企画展用に展示されている内容が一冊に。


感想に、

これまでに日本で催されたジブリ関連の展覧会の方が、

やっぱり自国なのもあって、展示内容に濃い印象かな、と。

米アカデミー映画博物館での企画展の中身は、

宮崎駿の仕事をまんべんなく俯瞰している感じかな、と。


でも、

紹介される資料の数にボリュームがあって、そこから

宮崎駿へのリスペクトのほどがうかがえます。 

結構な重量で、製本にしっかりしているだけじゃない、

宮崎駿含めスタジオジブリのクリエイティブその積み重ねが

重厚にうかがえます。


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この先にどうなんでしょう、

日本でも同じ内容の企画展があったりするんでしょうか。

その際は日本語訳の図録が出版されるのかな……。


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10月も半ばを過ぎて、寒さがぐぐっと接近です。

コロナ、引き続き注意を怠らず第6の波に備えてまいりましょう。


今年もぴちぴち跳ねる魚のような印象の……


実際は今年7月に発売だったんですけど、

ご紹介の鮮度に十分な新刊。


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「魚社会」panpanya

2021年8月4日初版発行 / 980円+税


帯もいつもどおりに読ませる感触。


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犬の首につながれたロープのその先はどこなのか……


こんな電柱電線ロープウェイに乗ってみたい……


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収録された短編の中の、

製造に危ぶまれる菓子パン「カステラ風蒸しケーキ」その味を求めて

主人公が知的探求心でもって突き進んでいくそんな話(それも五話分)に、

好みの味を一途に求める思いっていうのが、

それは人によって食べ物でなくても別のなにかしらに置換できるそんな衝動に、

ぐっときました。


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毎度、時空に妙な世界へトリップできる、

日常を見る目に柔軟性を養ってくれる一冊です。


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本日、総理大臣に新しい方が選出されましたね、

どうかよい政治運びを、そうお願いしたいんですけどね……。


季節の変わり目に(でなくてもいいですが)読みたい絵本……


もう季節に秋がきてますね、

ここ最近の夜はその季節の虫の音もあって、やんわりすずしい。


というわけで、

タイトルどおりにそんな一冊をご紹介。


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「はるとあき」 作/斉藤倫 作/うきまる 絵/吉田尚令

2019年5月22日初版発行、小学館より、1300円+税


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お話は、

擬人化された四つの季節、春、夏、秋、冬、のなかの

“はる” と “あき” の手紙を介した交流がやさしく描かれる、

といった具合。


絶対に出会えないお互いの、

それぞれに思いをはせるまなざしが

読者の心をあたたかくしてくれる絵本。


この絵本の帯にこうあります。間違いありません。



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出だしに、“はる” が目覚めるところから始まります。

そうして、“なつ” がやってくるところで

来年まで眠りにつこうとする “はる” が気づくのです、

“あき” に会ったことがない、と。そこで、

“あき” に手紙を書いてみよう、ということに。


その後に続く手紙のやりとりで、

お互いの素敵なところにあかりが灯されていきます。


絶対に出会えない宿命にある “はる” と “あき” なのですが、

だからこそ通じ合える関係性に絶対でもある、と読ませます。


おだやかでやわらかな画風が、

お話を、そして “はる” と “あき” をあたたかく包み込んでます。


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まさにお話と絵に相性よく出会った、

生きとし生けるものを全肯定する、

といった印象もおぼえる絵本に「はるとあき」。


書店やネットで購入可能と思いますので、

よければページをめくってみてください。

すてきな絵本です。


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ついこの前までほんと暑いと思ってたのに、

もう今年に瀬の気配が……まだ気が早いでしょうか。


コロナウイルス、まだまだ勢いがあります、

いいかげんおさまってくれますように。