いよいよ発売ですね、11月から12月にかけて
映画「君たちはどう生きるか」関連の書籍。
それはネタバレ防止に慎重を期したことに加え、
そこからの購買意欲を狙った販売戦略なんでしょう。
その書籍のなかから、手もとで鑑賞したい気持ちで、
これを購入しました。
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2023年 10月31日 初版発行 / 徳間書店 / 4840円(税込み)
これなくして完成の状態に至らない、絵コンテ。
そこに「“君生き”の謎を解いていく」ってふうに読むのなら、
本のジャンルに “ミステリー” なんていえそうな気もする一冊。
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amazonの販売ページにあった、
その中身を紹介してるページのところを開いてみると……。
ご本人の手描き文字になんて書かれているのか
すんなりと判別できないところが多々たた~あってあって、
そこを飛ばしたくないので、なかなかページが進まない。
なので、今年読んだ村上春樹の長編のように、少しずつ
ゆっくりじっくりとページを進めてます。
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鑑賞された皆さんは、どんな感想をお持ちになりましたか?
ここで遅まきながら、
(もう三か月も前の)劇場での鑑賞の感想みたいなのを。
ちょっと長いです。
なので読み飛ばしてもいいです(ネタバレあり)。
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上映が始まってから最初の方は物語の筋に追っかけやすい印象で
正直それに従うところがあったんですけど、その筋に段々と
抽象的なふうへの移ろいを感じて、そこからは筋を忘れるおぼえで、
シーンの連続をただただ感じるままに楽しみ、見終わったあと、
そこに宮崎駿の最新作の絵画の飾られた美術館に訪れたような
心持ちになりました。
終盤に主人公マヒトが大叔父からメッセージを託されるところが
あって、「ゆたかな美しい世界を作れ」って。
それは、マヒトを介して“君生き”の鑑賞者へ、広義に今を生きる
“君たち”へ託してるって思える調子で。
そこに対し、物語を完全な抽象画のようにしないための、って
感じなくも……。
でも、それを気にしなくさせるくらい
アニメーションというものの表現力が勝ってるっておぼえに、
その制作に年月のかかった全編にわたる動き、動画表現。
カットによっては気味が悪くなるくらい動くんです。
その原画枚数に(ボツの枚数も含めたなら)きっととんでもなく
要ったはずの “君生き” (の動く絵画性)にすごいな、って。
鑑賞者を突け放さない程度の物語性をおさえておいて、
命の豊かさを感じさせるそんな動き、アニメーション
表現でもって生の大切さを、その意味を説いているようで、
それがあってまた、全編にあれこれ深読みの楽しめる
(そこに村上春樹のテイストを思わせる)、
そんなようと。
… … … … … … … …
感想、以上。
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現在80歳を超えてる(制作段階では70歳代の)宮崎駿監督による、
めっちゃベテランの作画監督を置いててもすべてを任せない、
老いに衰えない創造する力にまだまだ元気なあかしって窺える
“君生き”。
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宮崎駿監督より年上の筒井康隆さん、
文芸誌に作品を発表されてます(それをまとめて発売される
直近の短編集に“最後の”って謳われてますが。まぁコピーですから)。
横尾忠則さんも、絵画作品の制作に衰えの見られません。
その三人の名前だけを挙げて述べるのもあれなんですけど、
思うんです。日本が、世界が、老いも若きもよい意味で
線引きにない、色んな意味で素敵にアクティブに漲ればいいなって。
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そんなことを考えながら、ふと、
あるSF映画を思い出してみたり。
どんなSF映画でしょう。それは次回に。
引っ張るほどでもないんですけど。
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最後に、“君生き” 海外版の予告編。
絵コンテの本、高価ですけど、唯一これだけで、想像が膨らんだり、映画を鑑賞した時の思い出がよみがえらせることができる良い本ですね。そう考えると、むしろお得かも。
返信削除きっと、1コマ1コマ丁寧に味わいながら読まれたことと思います。(本に置かれた定規が懐かしい(笑))
御紹介いただいたYouTubeも拝見しましたが、これだけでも映画館で観たような迫力を感じました。
「ゆたかな美しい世界を作れ」
美しい世界を作るには、その人自身が豊かな心、純真な心、美しい心を持っているかどうかのような気がします。
コウジ菌さんへ
削除手もとでなんども映画を観てるような心地になれるし、また内部資料的な側面もあってそんなのを見ることができるのって特別やん、っていえる感じに、ほんと得した気分になれて満足です。めっちゃおいしいものを食べたときと一緒です(そうですよね?)。
まだ全部見終えれてなくて、他に読みたい本もあって、ちょびっとずつ賞味です、今年中に鑑賞できれば…。定規、ええ、これまでもこれからも欠かせませんから。
そうたやすくはない、それだけに重く響くその託されたといえる言葉。試されてるような、また、そういうものだぞって強く諭されてるような気もします、世界に知名な方の言葉による、そんなリトマス試験紙に。そこに心のありようを問われると…どうなんでしょう…。
こんにちは。私のブログへのコメントをありがとうございます。
返信削除宮崎駿については「風の谷のナウシカ」のコミックを読んで、彼の腹の中(悪い意味では無いですよ)を知って、ファンになりました。映画版はどの作品もあまりにもきれい事過ぎるなと思っていたのですが、コミック版の彼は凄い人なんだなあと感心し、私と共通した世界観を持っているように思っている。筒井康隆の「カーテンコール」は「むーん」と言う感じ。横尾忠則「死後の生き方」は少しは彼への理解が深まったかなと思った。スピリチュアルというジャンルのことでマスコミで喧伝されていた彼のイメージは好きじゃ無い。やはり横尾忠則は絵をみているほうが、ストレートに感じるものがあって楽しいですね。とりとめもないことをコメントしてすみませんでした。
“オジ”さんへ
削除漫画版ナウシカは宮崎駿さんのもう本性出てる気が…映画作家としてまた漫画家としてその両面に大きな乖離をおぼえます。わたしはどちら側の作品も好きです。筒井康隆さんの最新刊、わたしは本にまとまる前の掲載文芸誌で大体読んでて、らしい、なって。でも、店じまい的な雰囲気に正直残念な気持ちも。石原慎太郎さん三島由紀夫さんあたりも空飛ぶ円盤研究会会員でしたし(そのたとえでいいのかな…)スピリチュアルな方へ傾くのにわかる気がします、(かつての)横尾忠則さんのそれに。画家としての絵は好きです。グラフィックデザイナー当時のポスターデザインは嫌いじゃないですけど、画家宣言以降のポスターは好みじゃない…かな。