体に無理をいわさない程度にアクティブに、きもちに明るく前向きに、
わたしの新年に今月からって感じです。
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養生中、小さい頃から親しいこのパッケージに
初めて現れてくれました、エンゼルマーク。
次は金のエンゼルを見てみたいです。
青森県で。
でもそこまで行けませんので、
この図録で鑑賞です。
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「ここから」奈良美智
2023年11月30日 初版発行 /
一般財団法人奈良美智財団、青幻舎 / 3850円(税込み)
現在(~2024年2月25日まで)青森県立美術館で開催中の
個展の図録です。
現地でなければ買えないわけではなかったので、
そこへと赴く気持ちで青幻舎のオンラインショップから。
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図録の最初に、作家のツイートが引用、紹介されています。
「子どもの頃の気持ちや、思春期の高揚を決して忘れない。
大人になるために忘れない。
懐古的な感傷ではない。過去を引きずるのでもない。
自分の時間軸に一本の幹を見つけたいのだ。
年月を経て、それでもずっと自分であり続けるのだ。」
この短文に、
自分を汚されない、そんな強い呪文のような聞こえをおぼえます。
個展のタイトル「ここから」が、常にそうあるための言葉なんだ、って。
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図録に展示空間の紹介がもっとあってくれたら。。。
でも見せどころに当然で、足を運んでください、
ってことなんでしょうね。
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購入した図録には、青幻舎の出版目録もセットで付いてきました。
青幻舎の目線による今現在のアートのもように触れられるぐあいで、
ちょっと得した気分です。参考までに。
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巡回しないみたいなので、
あらためて図録(オンラインショップで購入可)があることにうれしい、
そんな一冊の紹介でした。
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青森といえば弘南鉄道、そこに国内で最も古いラッセル車が
現役で走ってますね。今冬も除雪で頑張る姿を応援です!
遅ればせながら、皆さんは御覧になられましたか?
一週間前12月16日土曜日夜の放送だったテレビ番組、
巷間にずれてやっとのことはいけんいたしました。
それについて、感想みたいなのをちょっと……。
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「君生き」に、あんなにも“呪縛からの解放(けりをつける)”が
込められてたなんて思いもしませんでした。
そういう物語だったんですね。
月刊誌「SWITCH」9月号のジブリ特集に、
大叔父が高畑勲さんであることが(対談記事で)
プロデューサーの口から発言にあったのを知ってましたけど……。
「君生き」の鑑賞で若やかな生の印象にあったのは、
あの作画監督よる線がこれまでのジブリの線を食っちゃうくらい
強いせいだったのかって、答え合わせの気分でした。
「美しい世界を作れ」ってところ。それを主人公(=宮﨑駿監督)が拒むのは
高畑勲監督との別れ、って意味だったんですね。
美しい世界を作れ、それを拒むのは、非現実の中でのそれだからって、
スクリーン上にそう思ってたんですけど。
“2399日”、
番組としてどれくらいの編集(演出)が入っているのかわかりませんけど、
たいへん見入るものでした。
ジブリ以前から一緒の二人の関係性に、とりわけ残された一人の居振る舞いに。
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もうちょっとだけ。
「君生き」は、その情報が劇場公開前に徹底した管理にあったわけですけど、
しばらく日月を置いてからちょい深く開示にあって、そうしてから
関連書籍の発売、そして、“2399日”の放送。
そこでふと、“2399日”って今観てよかったかな、と少々かしぐ思いが……。
今後「君生き」を鑑賞したなら、“2399日”のことを意識してしまうから。
それはそれでいいんです。けど、最初の事前情報なしの味わいを
もうしばらく持続させてもおきたかったかな、とも思ってみたり。
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“2399日”では、“呪縛からの解放”とともに
宮﨑駿監督の、老い、にカメラが向けられてましたけど、
薪を割る姿に、まだまだ、って見えました。
あと、番組の最後の最後、ナウシカの絵(!!!)を描かれているところにも、
まだまだ、って見えました。
感想みたいなの、おわり。
ようやく発売されました、年に一度のお楽しみ。
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「商店街のあゆみ」panpanya
2023年12月5日 初版発行 / 白泉社 / 1320円(税込み)
この描き手さんの新刊です。
これまで通り、
この世界観の街に引っ越したい、って思わせてくれる、
“ワンダーJAPON” 的なマンガ。
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今回も凝った表紙です。
タイトルにもなってる一編そこの商店街を解剖するような、
描き手さんの偏しゅうぶりの窺えるところに目を凝らしてしまいます。
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新刊に収められてる16の小編に、いつもどおり
ユニークで、妙で、夢幻的で、日常の眺めが違って見えてくる
そんなエッセンスに詰まったものばかり。
「正しいコンビニおにぎりの開け方」だとか、
「建物のビルとは、ビルの芽、が育つことで立ち現れるもの」だとか、
「商店街とは、その入口から奥へ向かって寂れていくもので、
その寂れた後方の古い区画を商店街の先頭へ移転させることで
“商店街の新陳代謝を図っている”、つまり、ちょっとずつ前へ前へ
移動してってる(生きもののような)もの」だとか。
など。
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そんな小編のなかでも、ちょっと魅かれたこの一編に……。
主人公の運転していた車が、
一台の車と激しくぶつかる事故を起こしてしまうんです。
それはもう、運転手が運転席から外へ放り出されてしまうくらいの、
お互いの車がバラバラに!ってほどの。
それなのに、なんと!
運転手にふたりとも無事なのもさることながら、
両方の車が、大破にあるほどだったのに、そうにないんです。
それぞれの車の部品が混ざり合う具合に、組み上がってるっていう……。
そんなこと、普通に考えたら「あり得ない」って思えますよね。
でも、確率って目で見たなら「あり得る」と。
地球に生命が発生する確率は、
25メートルのプールにバラバラにした腕時計の部品を投げ入れて、
水流でたまたま元通りに組み上がる可能性と同じ、で、
そんな星の上で起きた事故なんだからあり得なくはない、って。
話はその後、
「あり得る」可能性をもとにして両車を元通りにしようと……。
天文学者フレッド・ホイルって人の述べてる、地球上に生命誕生の確率に、
「廃材置き場に竜巻が通過したあと、そこの廃材でジェット機ボーイング747が
でき上がっているようなもの」
というたとえがあって、腕時計のもその類例。
この一編を読んでて、
人それぞれに願うことが途方もない確率の上にあったとしても、
可能性に決して無ではない、って思いがし、勇気をもらいました。
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参考までに ~ 同じ描き手さんによる単行本の紹介ページ。
帯にもありますけど、今刊で10冊目(インディーズのも含めて)。
恐らく来年中に出るはずの11冊目も待ちどおしい、
どうにか今年中に発売されてうれしい新刊でした。
今年も発表されましたね、2023年の流行語大賞。
(過去10年分の受賞も包めてこちらのニュースサイトで確認できます)
TOP10にトニーが入ってなかった~、と思ったら、
特別枠で選ばれてました。海外でまずドッときてからの流行り、
そんな逆輸入っぽいのはあかんてことなんかな、って。
まぁそこまで真剣に考えるほどでもないんですけど。
とにかく^^師走らしさがきた感じ。
今年を表す「漢字」一文字、それもなんになるのか、
清水さんからの中継、天気が晴れてますように。
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今回は、用語にまつわる一冊のご紹介。
「オタク用語辞典 大限界(だいげんかい)」
2023年12月5日 第一刷発行 / 三省堂 / 1540円(税込み)
辞典辞書でおなじみの三省堂からの新刊。
その帯にあるとおり、
それらの方面から集められた用語の辞典。
女子大のゼミに在校生卒業生の手により編まれた辞典なんです。
辞書なんですけど、用例だけを読むなんて楽しみ方に
読み物テイストとしてもいけそうな感触(難易度は高め……)。
先に用例を読んで、それってどんな意味? って辿るの、
全然あり。
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そんな用例を少し(わかりやすいのを)……
<オタク共通用語から>
「推しのATMになりたい」
「限界オタクすぎて最新話のこと考えただけで動悸する」
「ファンサされて普通に死んだ」
<日本の男性アイドル界隈用語から>
「自名義がぜんぜん仕事してくれない〔=当選しない〕!!」
「周りにフェイスシールドしてない人多くてファンサ干された……」
「なにわのライブに無所のJr.は出ますか?」
<K-POP界隈用語から>
「サセン許せない」
「ジンくんが載せてくれたセルカ、餅チミすぎてたまらん……!」
「推しの兵役中にペン卒した」
どうでしょう、
こういった用例が、全13章各界隈の用語の一つひとつに。
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最初は同人誌の規模で、そこから加筆、訂正による
バージョンアップを重ねての、この辞典。
ものを作る、ってことへの喜びをおぼえます。
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ものを作る。そこで生まれてくる色々に、
それが大勢の手によるものでも、また一人のそれでも、
イメージどおりの仕上がりにともあれ、とても魅かれます。
ものを作るっていうか描くっていうか、そういったことに
学生時分からあるせいかもしれませんけど。
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馴染みがある方にはツッコミ読みとか、
馴染みがない方には新しい世界を読むことができる、
「舟を編む」が好きな方には、辞書の色味に違っても、
はまるんじゃないでしょうか。
これから刷を重ねて、新たな用語や章が増えてってほしい、
そうなったら電子辞書にも常駐みたいな、
これで終わってほしくない、そう思える一冊のご紹介でした。